唯一、安倍首相のスペイン訪問を細かく報じた「El Mundo」は、両国が結びついた150周年を記念して2013年から継続されて来た両国の関係を格上げすることで合意したと報じている。それは新しい協定を結ぶものとし、その内容の一部は、両国の航空協定の改正及び所得税の重複徴収及び脱税を回避するものであるとした。航空協定の改正というのは、これまで日本は東京そしてスペインはマドリードを起点にすることが義務づけられていたが、この改正で起点が両国の別の都市からでも可能になるということである。また、重複徴収というのは日本で一度税金を納めれば、スペインでの徴収は回避されるという合意である。
更に、同紙が強調しているのは2019年3月から欧州連合(EU)から英国が離脱することによってスペインがEUの中で4番目に経済規模で大きな国になるという点だ。このことを日本は知るべきだと指摘している。
また、7月17日に日本が署名したEUとの経済連携協定(EPA)についても近く欧州議会で批准されて来年初頭からこの合意が有効となることも報じ、スペインはその恩恵を最も高く受ける国の一つだと指摘した。
日本が政治外交においてスペインで重要性を増すには今後さらに外交面での活発な動きが必要であろう。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身