アメリカで頻発するポリコレ騒動。それが正しいかはさておき、日本の基準はもはや通用しない

水次祥子

一連の騒動についてのツイート

一連の騒動についてツイートする「NY Daily News Sports」のTwitterアカウント

田中将大投手が巻き込まれた、ある発言

 日本人メジャーリーガーが差別的発言による炎上騒動に巻き込まれるということが、このところ米国で相次ぎ起こっている。

 ヤンキースの田中将大投手がレッドソックスとのプレーオフに登板したときもそうだった。

 試合のテレビ中継を担当する米TBS解説者ロン・ダーリング氏が、田中のコントロールの乱れを指摘したのだが、そのときに「Chink in the armor(チンク・イン・ジ・アーマー)」という慣用句を口にした。直訳すると鎧(Armor)の裂け目(Chink)となり、戦闘するときに鎧に裂け目があればそこばかりを狙われてしまうということから、致命的な弱点のことを表現する言葉だ。しかしChinkは欧米では中国人に対する蔑称として使われている言葉でもあり、総じてアジア人に対する蔑称として受け取られてもいる。

 ダーリング氏は、それを田中の投球について話すときに使った。ただし同氏は母親が中国人で、ハワイというアジア系の人々が多く住む土地で生まれ育っている。それだけにChinkに裏の意味があることは知っていたと考えてよさそうだ。

 自身も中国系である米国人が、日本人に対し、主に中国人への蔑称でもある言葉を含んだ慣用句を使ったら、果たして差別になるのか?

 米国ではイエス。完全にアウトなのだ。

 ダーリング氏はこの発言の後、試合中継が終わるとすぐにメディアを通じ「私はマサヒロ・タナカの投球について話しをした際、ある表現を使いました。意図的ではありませんでしたが、言葉の選択に関して謝罪します」と声明を出している。

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イチローと大谷を指して「そっくりな2人」

 今季途中からマリナーズのフロントに入り球団会長付特別補佐を務めているイチローと二刀流で話題のエンゼルス大谷翔平も、差別騒動に巻き込まれたことがある。

 マリナーズとエンゼルスが対戦した7月のある試合前、2人が談笑する場面があり、MLB公式サイトのツイッター担当がそのときの写真を「Spider Man pointing meme(スパイダーマン指さしミーム)」というコメントを付けてツイッターに投稿した。

 それは米コミック『スパイダーマン』で2人のスパイダーマンが鉢合わせをして互いに指をさし合うというシーンのことで、うりふたつというほどそっくりな人々や物、場所を表現するときにジョークとしてよく使われている画像だ。そのツイッター担当は「イチローと大谷、そっくりな2人が再会した」とジョークを交えて紹介したかったのだろうと思われる。

 しかしこれが差別的だとツイッターで非難され、炎上した。アジア人は皆同じに見えるという侮辱をしたことになるという理由だった。

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日本の「基準」は通用しない
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