度重なる無許可飼育に行政指導。動物愛護法違反で初公判が行われた移動動物園業者の実態
2018.10.12
「動物に触れる」のは子供たちにとって大きな喜びだろう。しかし、それすら「動物のストレスになる」と問い直される時代に、それ以前の“不適正飼育”をしている動物園が数多いという。
琵琶湖にほど近い大型商業施設「ピエリ守山」(滋賀県守山市)にある「めっちゃさわれる動物園」。レストランなどの真下でアミメニシキヘビやカナダヤマネコ、ニューギニアワニなど、約100種類の動物たちに「触れる」スポットだ。
運営する堀井動物園(守山市)は移動動物園(動物を移送して臨時の動物展示を行う運営形態)を看板とする業者。’82年創業の老舗だ。滋賀県知事の許可を得て「第一種動物取扱業」として登録している。一部では有名な業者だと言っていい。法令違反やボヤ騒ぎ、動物を逃がすなど、お騒がせ事例に事欠かないからだ。
園長の堀井嘉智氏は今年3月、大津地方検察庁に書類送検された。特定動物(人に危害を加える恐れのある危険な動物)であるハクトウワシとアビシニアコロブス(オナガザル科の霊長類)の無許可飼育(動物愛護管理法違反)が’15年9月に発覚。動物保護団体「PEACE」は’17年に滋賀県に情報公開請求を行い、この事実を知る。守山警察署に見逃されていることを指摘したものの、守山警察署の腰は重かった。
「捜査がまったく行われていなかったので、公安委員会に苦情申し立てを文書で行いました」(「PEACE」の東さちこ代表)
これが書類送検、起訴に結びついた。同団体は検察にも嘆願書を送付。現在は刑事裁判が進行中。年内にも一審の判決が出る見通しだ。
「堀井氏が動物たちにしていることは『ネグレクト』(適切な飼育を怠り、放棄すること)。虐待の一種と言えます」(同)
「飼い殺し」動物園の実態はどのようなものなのか。駅から5分ほど歩くと、住宅街の一角に堀井動物園の飼育場があった。
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