ロシアがシリアへのS-300供給を決定。イスラエルはどう対応するのか?

白石和幸

photo by EllsworthSK via wikimedia commons(CCBY-SA 3.0)

 ロシアの軍機IL-20に乗っていたロシア軍人15人が、シリアで旧式のロシア製S-200ミサイルシステムによって誤って撃墜されて全員が死亡したことを受けて、ロシアはシリアにS-300ミサイルシステムの早急なる配備を決定した。
 S-300を配備したいというシリアからの要望は2013年から存在していた。実際、シリアの軍人がその為に操作の実習を終えてその設置を待つばかりであったという。ところが、ロシアはイスラエルからの要望を受け入れてその設置を延期した。理由は、イスラエルの空域での優位性を危険にさせないためであったという。(参照:「El Pais」)

ロシアがシリアへのS-300配備を決めた背景

 ロシアはシリアそしてイランを支援しているが、中東での情勢均衡を維持させるために、出来る範囲でイスラエルにも協力している。イスラエル軍はシリアに駐屯しているロシア軍とは摩擦や事故を防ぐためにも円滑に情報交換をしているという。そして、イスラエルがシリアにおいて、イランが支援していると言われているテロ組織ヒズボラに攻撃を加えることについて、ロシアはこれまでそれを邪魔しないように黙認して来た。

 イスラエルは、イランがヒズボラにミサイルを供給しているのを遮断するためにシリアで彼らのルートを攻撃することが往々にしてある。イスラエルはヒズボラから多量のミサイル攻撃を回避させるためにそれをシリア国内で遮断しているのである。またロシアは暗黙の内にそれを了解しているというわけだ。(参照:「Infobae」)

 しかし、イスラエルが8月に発表した報告で、昨年からイスラエル空軍はシリアを200回以上空爆したということについて、ロシアが満足しているとは思えないようだという。それはイスラエルがロシアの好意を過度に利用して来たきらいがあるように思えたからである。(参照:「Noticias de Israel」)

 ロシアは自国がこれまでイスラエルに与えて来た好意によって遂に15人のロシア軍人が犠牲になるという結果を生んだことで、ロシアはシリアの領空でのコントールを強化して、これまでのイスラエルに譲渡して来た優位を是正することに決めたのが今回のS-300のシリアへの供給である。

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S-300のシリア配備で中東情勢はどうなる?
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