4回目の南北首脳会談。進む米朝・南北朝鮮関係の一方で厳しい選択を迫られる日本

今回の南北首脳会談が日本に与える影響

 4月に行われた第3回南北首脳会談が、李明博元大統領・朴槿恵元大統領時代に急激に悪化した南北関係の再びの邂逅を促し、一触即発の危機感を漂わせた米朝関係の修復に向けた入口の会談であったならば、今回の第4回南北首脳会談は、北朝鮮の非核化(米朝関係)を主要な議題としながら、朝鮮半島の恒久的な平和体制の構築(南北関係)という具体的な内容が話し合われた、より実践的な会談であったと言える。  文在寅大統領の積極的な橋渡しにより米朝関係が大きく改善され、南北関係においては「統一」という、寓話性すらも有したワードに血が通うリアリズムを与えた。  北朝鮮とアメリカの関係改善は、「朝鮮戦争の終結→米朝国交正常化」へと繋がっていく。金委員長が言う「朝鮮半島を、核兵器も、核の脅威もない平和の地」という言葉を思い返せば、前段の「核兵器がない」は、北朝鮮の核の放棄を意味しているが、後段の「核の脅威がない」は、アメリカによる武力的な脅威がないという事を示唆している。米朝国交正常化こそが、北朝鮮の外交的な当面の終着点であり、その後、国際的な経済交流の中で自国を発展させようとしている。そして、現時点でその歩みは着実に進んでいる。  一方で日本は厳しい外交的な選択を迫られる。  日本と北朝鮮の間には、拉致問題という懸案事項が横たわっており、この点において現時点でまったく接点を見いだせていない。「拉致問題の解決」を声高く叫び、「北の脅威」を煽り続けてきた安倍政権にとって、南北・米朝の急接近は悪夢でしかない。  拉致問題を許すことが出来ない世論と、その世論を味方に付けてきた安倍政権が、2002年小泉政権時に合意した、「拉致問題は解決済み」、「日朝平壌宣言の精神にのっとり」を強行的に主張する北朝鮮との外交的妥協点をどう見出すのか。  安倍首相は、金委員長との会談を働きかけてはいるが、会って一体何を話すのか。  安倍政権を後押しした対北世論が、安倍政権の脅威になりつつある。 <文/安達夕 写真/EPA=時事>
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