4回目の南北首脳会談。進む米朝・南北朝鮮関係の一方で厳しい選択を迫られる日本

安達夕
南北首脳in白頭山

南北首脳が白頭山に共に登った「意味」とは? (EPA=時事)

 9月18日~20日に北朝鮮・平壌で開催された第4回南北首脳会談(文在寅大統領と金正恩委員長は2回目)について、日本のメディアはそれほど多くを報じていない。あれ程までに「北の核」の脅威を煽り、アメリカから陸上配備型イージス・システムを購入したり、日本各地で北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合の避難訓練を実施したりしたにも関わらず。

 4月に行われた南北首脳会談以降、正確に言えば、北朝鮮・金正恩委員長の「新年の辞」から始まり、平昌冬季オリンピックへの特使派遣を経て、朝鮮半島は非核化へのプロセスをしっかりと刻み始めている。アメリカ・中国・ロシア等の大国に挟まれながら、韓国・文在寅大統領の舵取りは絶妙で、6月には歴史的な米朝首脳会談までもがセットされた。

 北朝鮮の非核化について慎重に見守る。日本政府はその立場を大きく崩してはいないが、激変する東アジア情勢のなかで、「対北強硬論」に固執する日本だけが取り残されるという事態だけは避けるべきだ。そのためにも、今回の南北首脳会談についてより正確に知る必要があるだろう。

北朝鮮の非核化は本当に実行されるのか?

 今回の会談において、国際的な最大の関心事は、北朝鮮が「非核化」に対しどこまで踏み込むかということであった。その点において、結果は上々であったと言える。南北の合意文書において北朝鮮は、「東倉里(トンチャンリ)のエンジン試験場とミサイル発射台について、関係国の専門家の立ち合いのもと、永久的に閉鎖する」とし、「寧辺(ニョンビョン)の核施設については、アメリカが、先の米朝共同宣言に基づき相応の措置をとれば、永久廃棄のような追加的な措置を講じていく用意がある」とした。

 この合意に対し、アメリカのトランプ大統領も「エキサイティングだ」と即座に反応、ポンペオ米国務長官も平壌再訪問に関する動きを見せた。

 何よりも金委員長が自身の口で、「朝鮮半島を、核兵器も、核の脅威もない平和の地にするため積極的に努力していくこと」を確約したことが大きい。この点に関しては、韓国に帰国した文大統領の記者会見でも、「1日目の会談のほとんどは非核化の話に費やした」「金委員長は非核化について、何度も私に確約した」と報告している。

 今回の南北首脳会談の合意に基づき、北朝鮮が東倉里の試験場等の永久閉鎖を実施すれば、早々にも2回目の米朝会談が開かれる公算が高い。トランプ大統領にしても、中国との貿易戦争の決着が見えない今、11月の中間選挙に向けて、「北朝鮮の非核化」という外交の実はどうしても手に入れたい。北朝鮮の金正恩委員長は、このトランプ大統領の見えない「焦り」も十分に計算している。

 9月18日から始まった国連総会における一般討論演説に向けて、各国の首脳や官僚がニューヨークに集結する。米韓・日米、それぞれに首脳会談が行われ、米朝外相会談がセッティングされる可能性も高い。11月のアメリカ中間選挙に向けて、10月の1か月間、北朝鮮の非核化を巡る動きが急加速するだろう。

 そのスタートの号砲は、東倉里試験場の閉鎖。北朝鮮がこれを実行すれば、情勢は更に急加速する。

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南北間における今回首脳会談の意義

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