安倍改憲は、自民党の党是も自衛隊も愚弄する<適菜収・山崎行太郎対談>

野党に石破を担ぐ覚悟はあるか

山崎:自民党総裁選はよほどのことがない限り安倍が勝つでしょう。NHKをはじめ、大手メディアも完全に安倍を応援しています。  でも、安倍政権の圧力を跳ね除けて出馬したという点では、石破は腹が据わっていると思う。僕は石破は好きじゃないけども、そこは評価できます。 適菜:私も別に石破がいいとは思いませんが、安倍よりははるかにマシです。まずい飯を食うか、それともウンコを食うかと聞かれたら、誰だってまずい飯と答えるでしょう。それと同じです。いま、石破を支持している人たちも、同じだと思います。積極的に石破の政策を支持しているのではなく、さすがに安倍はまずいだろうと。  総裁選で石破が掲げたスローガンは「正直、公正」です。「嘘をつかない」ということが総裁選の争点になるなんて前代未聞ですよ。それだけ安倍の6年間が酷かったということです。 山崎:自民党総裁選が終わったあとの石破の動きにも注目する必要があります。仮に安倍が3選したとしても、安倍政権は決して盤石でないから、任期途中でレームダック化し、政権が崩壊する可能性もあります。そのときは安倍に後継指名をする力は残っていないだろうから、過去の例から言えば、石破に政権が転がり込むでしょうね。  あるいは、総裁選後に、安倍が石破派を徹底的に干すかもしれない。そうなったら、石破は自民党を離党する可能性もあります。 適菜:石破が自民党を割って出て、それを野党が担ぐという話も出ていますね。 山崎:沖縄で保守と革新が手を握った「オール沖縄」のような形ですね。民主党が政権交代を実現したときもそうでした。あのときも小沢一郎をはじめ、元自民党議員たちと左派系が組んだことで、政権交代を成し遂げました。 適菜:「オール日本」で、反安倍の救国戦線を組むべきです。 山崎:だけど、いまの野党にそこまでの覚悟があるかどうか。やはり革新派の頭の硬さがネックになっていると思います。野党はもっと自民党内の非主流派や自民党支持層を取り込んでいくべきだと思うけど、そういう動きは見られません。 適菜:共産党もきちんと保守路線を打ち出すべきです。自民党が極端なグローバリズムに舵を切った結果、共産党は相対的に保守的な立場になっている。だから、共産党はもっと保守層をすくい上げる努力をすべきです。 山崎:そうですね。野党がもっと柔軟に動けるかどうかが、今後の日本政治にとって重要なポイントになると思います。 <構成/中村友哉・月刊日本編集部> <文/月刊日本編集部> げっかんにっぽん●「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。 適菜収・山崎行太郎両氏の対談は『エセ保守が日本を滅ぼす』として書籍化している。
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
1
2
3
4
5

月刊日本2018年10月号

特集目次
安倍政権の6年を総括する
誰のための改憲なのか!
忍び寄る安倍全体主義
大企業のためのアベノミクス



エセ保守が日本を滅ぼす

誰が日本をここまで劣化させたのか? それは安倍政権やそれを支持する「エセ保守」たちだ!

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会