自民党総裁選公開討論会の一部を「信号無視話法」分析してみた

犬飼淳

論点のすり替えを行う安倍総理の回答

3問目 北朝鮮拉致問題(回答者:安倍総理)  さらに安倍総理に拉致問題について再質問が飛ぶ。 「安倍総理は拉致被害者を生きて全員奪還とずっとおっしゃってきたが、北朝鮮の言い分では政府認定の17人の被害者のうち5人は帰国済み、4人は未入国、8人は死亡。この事実認識の差を埋める努力をしなかったことが拉致問題を長引かせた要因ではないか。  拉致問題解決のゴールはどこにあるのか? 何が解決すれば、拉致問題の解決なのか? 安倍さんは『生きて全員奪還』と言ってきたが、確証はあったのか?  もし不都合な真実が出てきたら、どう責任を取るのか?」  これに対する安倍総理の回答が以下だ。 安倍回答2埋める努力をしな、しなかったとおっしゃいましたが、例えば埋める努力というのは、北朝鮮の言い分を私たちが飲めということなんですか?  これは今、検証するとこうおっしゃいましたね。あのつまり彼らは日本人を拉致したのは彼らです。一体どうやって何人拉致をしているかということは全貌は私たちは分からない。はっきりと認定できているのは今言われた17人であります。ま、そこで、死亡したというですね、確証が我々、彼らが出していないわけです。彼らが送ってきた遺骨は実は違った。  であるならば政府としては生きているということを前提に交渉するのは当たり前じゃありませんか。私たちがそうではないということを疑っていました。ゆうことになればですね彼らは、えー、自分たちが言ってるとおりでしょうということになるわけであります。拉致問題を解決をするというのは彼らがまさに実際に実行しているわけでありますから、それを正直に私たちを納得させるということに他ならないわけでありまして、これはまさに実行したのは彼らであって拉致をされたのは日本側であります。その観点をですね、忘れてはまさに北朝鮮の思うツボなんですよ。この思うツボにはまってはならないわけありまして。我々が死亡ということを確認できない以上は政府としてですね生きているということを前提にですね、交渉しなければならない。これ当然のことなんだろうと思います。そういう観点に立って、いま交渉しているということであります」  冒頭の段落は以下のように論点をすり替えているため、赤信号とした。 質問者の意図:両国の認識差を埋める努力をすること 安倍総理の解釈:北朝鮮の言い分を飲むこと  その後の2段落目は回答者でありながら何故か質問内容(拉致問題)に関する経緯を説明しており、黄信号とした。  さらに、3段落目では再び論点のすり替えがされているため、赤信号とした。 質問者の意図:「生きて全員奪還」発言の確証の有無 安倍総理の解釈:全員生存という前提に立つことの是非  また、「まさに」という表現を3回も多用しているが、分脈から判断して全て不必要なため色なしとした。  結局、回答と判断できる内容は1文字もない集計結果  両者の回答内容を集計した結果、このようになった。 集計結果  安倍総理は赤信号と黄信号が計74%を占め、質問にほとんど回答できていない。  一方、石破氏は青信号が65%を占めており、質問におおむね回答できている。  また、色なし(不要な言葉、意味不明な言葉)は安倍総理のみに現れており、安倍総理がしばしば何を言っているのかわからない状態になる一因になっている。  これらの集計結果を踏まえて、以下のことが言える。 ・安倍総理は質問内容を理解する力が欠如している。もしくは意図的に質問に答えていない。 ・安倍総理は考えを簡潔に言語化するだけの国語力が備わっていない。 ・石破氏は日本語の質問を理解し、日本語で回答する点において、安倍総理より優れている。
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