では、今回発表された新型iPhoneで、注目すべき点はどこにあるのか? IT・家電ライターの小枝祐基氏は、性能面よりも使い勝手の幅や、機種の選択肢の広がりにあると分析する。
「iPhoneもようやくアンドロイドのようにデュアルSIMに対応しました。どうやら日本版は片方がキャリア用になってしまうようですが、ともあれ、足りなくなったデータをMVNOで補うような使い方ができるだろうと期待してます。それと、やはり注目は下位グレードのXRだと思います。価格面ではiPhone 8からの乗り換えにちょうどいいですし、流行りのオールディスプレイは端末サイズを据え置きで大画面が使えるので、魅力を感じる人も多いと思います。ただ一方で、根強いユーザーの多いTouch IDが使えなくなる点に加えて、8には搭載されている3D Touchに対応しないなど、慣れ親しんだ機能が載っていない点は一考の余地がありそうです。サイズ・重量もXSより大きいので、実機を見て要検討でしょうか」
小枝氏は廉価版のiPhone XRの存在が、消費者の選択を拡げると分析する。カラーバリエーションも6色と幅広い
もはや端末の大画面化は避けられない流れ。今回、とうとう4インチサイズのSEが姿を消したことで、一部で期待されてきた新型ミニサイズモデルの目は、ほぼなくなった空気が漂っている。画面の大型化に加えて、今回512GBモデルが登場したことでさらに高価格化に拍車がかかっているが、今回登場したXRは、言うならば”低価格版iPhone X”。大画面でありながら本体がコンパクトなのは魅力的だし、価格を理由に昨年Xを見送ったという人でも、10万円以下なら食指が動きやすい。
「これまで通り、ハイエンド志向の人は上位グレードのXSやXS Maxにある程度動くでしょうし、発売がひと月遅いXRを待てない旧モデルのユーザーは、より安価になった8や7を選ぶという選択肢もあります。全体的にマイナーチェンジが多く地味な発表でしたが、乗り換えにはむしろ好機なのかなと思います。個人的には、在庫処分で安くなったXを狙うのもアリかなと思います(笑)」
新型iPhoneの発売日は「iPhone XS」および「iPhone XS Max」が9月21日(金)で本日より予約開始。「iPhone XR」が10月26日発売となる。価格は「iPhone XS」が11万2800円(税別)、「iPhone XS Max」が12万4800円(税別)、「iPhone XR」が8万4800円(税別)から。
昨年のような目新しさには乏しかったものの、ラインナップ追加やカラーバリエーション強化など、打てる手はすべて出してきたアップル。低価格な8が先行発売された昨年とは逆に、高価格XSシリーズから発売となる今年は、どのように消費者が反応するか? 今後の動向にも見守りたい注目だ。
<取材・文/HBO編集部 写真/photo via Apple>