スルガ銀行だけではない。地銀の住宅ローンで破産する人々<競売事例から見える世界14>

スルガ銀行、TATERUなど一連の事件は、不動産投資の終焉を示唆しているのかもしれない

 丸腰・手ぶら状態の貴女にも、お城の舞踏会に連れて行ってもらえるチャンスが巡って来るかもしれない。そんなネーミングの女性用シェアハウス不動産投資会社が破綻し、融資部分を担当していた某地銀の融資スキームや審査書類の改ざん等に注目が集まっている。  とは言え、差し押さえ・不動産執行の仕事をしていると、今回露呈した地銀の問題も単なる氷山の一角に過ぎないのではと思う。  最近出会う事件のほとんどが地銀の扱う住宅ローンを起因としており、ローンを組んでから10年以内に破綻というケースが極めて多いからだ。  驚くことに、新築を購入してから1~2年で差し押さえという事件も珍しくない。これらは地銀の住宅ローン審査が全く機能していないということを意味している。  地銀の上層部はこの状況改善にブロックチェーン技術とAI技術を導入した、SF映画のような近未来的ローン審査での抜本的改革を検討しているようだが……、現場は現場。  とにかくお金を借りてもらわなければ自転車のペダルが回らないと躍起になっており、審査通過の抜け道アドバイスなども盛んに行われ、その中には小規模な審査書類の改ざんもいくつかあるのかもしれない。  こうして無理矢理成立させられた住宅ローンが次々に破綻という悪循環を生み出している。  もちろんこの状況は地銀の首をゆっくりと締め上げているようで、疲弊する地銀の生き残りをかけた吸収や合併、経営統合が容易にできるよう水面下で調整や整備が進められているという噂すら聞こえてくる。  とにかく、そんなわけで築年数の浅いフシギな案件に度々出会うのだ。  某路線の駅チカで線路際ながらも可愛らしい新築マンションの一室。デザイン的な外観からも扉や窓といった建具のセンスからも新しさと美しさが感じられるのだが、内部にはびっしりとゴミが詰まったゴミ屋敷。  このような「キレイなゴミ屋敷」は最近多いのだが、この物件は中でもゴミの溜め込みようが頭一つ……いや、二馬身ほど抜き出ていた。
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ひとり、ゴミ屋敷で暮らしていた夫人
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