2001年以来毎年行われてきた「大間マグロ感謝祭」も中止に
大間町役場。秋からは新庁舎に移行する
「クロマグロ漁に出漁する漁船は1日あたり40~50隻ほどがマグロ漁に出漁するが、今年は10~15隻ほどと例年の3分の1ほどにとどまっておりハマに活気がない。漁業者の一部はコンブ漁やメバル、ヒラメなどの釣り漁でしのいでいる」(大間漁業協同組合の伊藤幸弘指導課長)
マグロは脂がのる冬にかけて価格が上昇する傾向がある。水揚げが漁協から配分された漁獲枠に早い段階で達してしまえば、価格が上がる時期に漁ができなくなる懸念がある。漁獲枠を守りつつ、価格が高い時期に水揚げすることで少しでも収入を得たいと考える漁業者らが現在は出漁を見合わせているというわけだ。
マグロを確保できる見通しが立たないため、2001年以来毎年開催されてきた「大間マグロ感謝祭」も中止になった。
しかし「大間のマグロ」の知名度は抜群で、週末ともなれば観光バスで観光客が押し寄せる。9~10月の毎週日曜日には地元商業者などでつくる実行委員会によるイベント
「日曜日はマグロだDAY」でマグロの解体ショーも行われている。
映画『魚影の群れ』では、釣り上げた「マグロ1匹で100万円」に喜ぶ娘の登喜子の夫・田口俊一(佐藤浩市)に漁師・房次郎は「漁師は地獄か極楽しかねえ、大バクチうちだ」と語りかける。地方創生を進める政府は大間の漁師にどんな未来を見せるのだろうか、対応が注目される。
<文・写真/松井克明(八戸学院大学講師、地方財政論)>