薄利多売の構造が生み出す、大量の衣服廃棄処分という現実。消費者も意識を変えよ

PONCHO

利益を出すため処分する負のスパイラル

 では、なぜ新品の服がそのまま廃棄、処分されるのか? 繊維総合商社に勤めるAさんに話を聞きました。 「日本の小売店が1年で生産した商品のうち何割が購入されているかご存知でしょうか? いろいろな統計が出ていますが、約50%が購入され、残りは売れ残ります。では、なぜそれだけの数量を作るのか? 答えは極めてシンプルです。製造原価を安くしたい、安くしなければ小売業の経営が成立しないからです」  Aさんが入社した’00年頃、ひとつの商品の寿命は約10か月。それが現在では約4か月にまで縮まっているそうです。調べたところ、ファストファッションの現場では、なんと3週間という数字もありました。  この商品寿命とは、企画立案から、製造、販売を経て、商品が売れなくなるまでの期間を指します。仮に製造を1か月で行ったとして、現在では3か月たてば売れない商品となってしまうのです。 「商品寿命が短くなると小売業者がどういう対策を取るかといえば、販管費に経費をかけます。メディアへの露出を増やし、購買を煽るわけです。自ずと小売業者は経費を抑えるため、我々サプライヤーに対して、製造原価を抑えるよう厳しく要求します。そうなると、今度は我々サプライヤー側が小売業者に対して多くの数量を扱ってくれるよう要求します。そうすることで製造原価を下げるんです」(Aさん)  原価を抑えるため、製造する数量を多くする。必然的に商品は売れ残る。売れ残った商品を在庫として持っていると経費がかさむので、廃棄処分する……。  しかも、Aさんによれば、旬が過ぎて季節ごとに処分するのではなく、単に利益を出すために処分しているそうです。数シーズンに一度、儲けが出た年に不良在庫を消しているのが現実なのです。 「よくブランドの価値を守るためと聞きますが、それは詭弁です。もしブランドイメージを守るためというのが事実なら、例えば大きな災害が起きたときに支援物資として提供してもよいと思いませんか? 今年、西日本で起きた『平成30年7月豪雨』でZOZOTOWNが衣類を提供したことは、業界ではかなり珍しい例です」  では、どうしたらこの負のスパイラルを解消することができるのか? Aさんは諦め顔でこう語ります。 「AIを活用したスマートファクトリーなどの対策を行っていますが、まだ道半ばです。正直、現在のアパレル業界の仕組みでは、廃棄処分を減らすことは到底無理でしょう」  こうした現実を踏まえると、アパレル業界に期待しても仕方がありません。だとすれば少しでも変わるべきは、私たち消費者でしょう。大量生産、大量販売、大量廃棄を助長する使い捨て商品を極力買わないことから始めるのも、ひとつの手です。
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消費行動は社会貢献にもなりうる
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