犬の表情から気持ちを読み取る方法とは? 微表情専門家が真面目に考えてみた

清水建二

寂しそうな顔をしているからといって、悲しんでいるとは限らないのが犬の表情

 微表情研究家の清水建二です。清水建二の微表情学41回『ワンちゃんの「困り顔」はどんな効果が? 微表情がわかれば愛犬の気持ちもわかる!?』に引き続き、今回もヒトの表情の番外編として犬の表情についてご紹介したいと思います。私は、これまで犬を2匹飼った経験があり、今も1匹我が家におります。

 犬とのコミュニケーションにおいて、微表情分析のエキスパートの知見を活かせるかと思いきや、私は犬の気持ちを読みとるのは苦手なようで、ヒトの表情には素人の家族の者の方が上手なようです。

 私たちは犬とコミュニケートするとき、表情含め犬の動き全体から犬の気持ちを感じとろうとしているわけですが、表情に関して言えば犬はときにヒトと同じ表情をするようでいて、ときにヒトには出来ないあるいはヒトはしないような表情をしているようです。

犬の「怖がる、イライラする、期待する、嬉しい」表情とは?

 かの有名なチャールズ・ダーウィンが犬を含めた哺乳類とヒトとの表情の類似性について論じたのが1870年代。ダーウィン以後のダーウィンの流れを汲む感情研究者たちは、表情は環境に適応し生存競争に勝ち抜くためにある感情のシグナル・機能であり、哺乳類とヒトの表情が似ていることは両者に遺伝的なつながりがあることを示唆する、と言います。

 確かにチンパンジーやその他類人猿の表情とその感情との関係は私たちのそれに似ていることがわかっています。また研究を持ち出すまでもなく、犬が怒っているのを見れば、目が鋭くなり、鼻にしわがより、歯をむき出す、私たちが激怒しているときと同じ表情であることもわかります。

ところで、怒り以外の表情はいかがでしょうか? 私たちがペットと写真を撮るとき、犬は笑ってくれますか?

 いやいや、犬はそういう媚は売りませんか?

 それでは、大好物を目の前にしたら(匂いが漂ってきたら)、ボール遊びに誘ったら、犬は笑うでしょうか?

 Caeiroら(2017)の研究が、犬の表情について興味深いことを教えてくれます。

 Caeiroらは、恐怖・イライラ・期待・幸福感情が喚起される状況にいる様々な犬100匹、ヒト50人の表情を分析し、両者の表情を比べました。その結果、各状況において犬は特定の表情をすること、そしてその表情は私たちとは異なることを見出しました。それぞれの感情に犬はどんな表情をしていたのでしょうか。具体的な表情は次の通りです。

・恐怖を抱いているとき、犬はあえぎ、息使いが荒くなる。
・イライラ(≠激怒)しているとき、犬は特定の表情はしない。
・何か良いことが起こることを期待しているとき、犬は耳を内側に回転させ、口あるいは鼻をなめる。
・嬉しいとき、犬は口が大きく開ける。

という表情が観察されました。

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人間は自分を基準に犬の表情を読み取ろうとする

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