豪雨が来たら気をつけたい。専門家が選ぶ「危険なダム ワースト10」

西日本豪雨で高梁川水系の大被害最大の原因!?

 続いて6~3位まで見ていこう。6位になったのは、長崎県の石木ダムだ。 6位 石木ダム(長崎県彼杵郡)  川棚川水系の石木川に計画されているダム(事業費285億円)。目的は洪水調整と水道用水供給と流水の機能維持だが、激しい反対運動で’75年の事業採択から40年以上たっても着工に至らず、その間に水需要減少で利水の必要性が喪失、治水効果も極めて限定的。ダム建設が優先され、堤防補強や浚渫などの治水対策が遅れている。
石木ダム 水没予定地の住民らが座り込み

石木ダム 水没予定地の住民らが座り込み

 水没予定地の住民らが座り込みで工事に抵抗するも、周囲の山々はどんどん削られている状況だ。  5位は首都圏への影響も予想される群馬県の下久保ダムだ。 5位 下久保ダム(群馬県藤岡市・埼玉県児玉郡)  利根川水系神流川に’68年に完成した重力式コンクリートダムで、独立行政法人・水資源機構が管理。八ッ場ダムと同程度の大規模ダムであり、建設地が地すべり頻発地域であることも共通している。
5位 下久保ダム(群馬県藤岡市・埼玉県児玉郡)

5位 下久保ダム(群馬県藤岡市・埼玉県児玉郡)「地すべり資料館」がすぐ近くにあるほどの軟弱地盤に建設されたダム。豪雨時はダム湖へ大量の土砂流入の恐れ

 土砂大量流入・急激な放水・ダム決壊のリスクを抱え、想定外の豪雨で下流域の首都圏人口密集地帯に甚大な被害が出る恐れがある。  4位は西日本豪雨で死者を出した肘川水系で建設中のダムだ。 4位 山鳥坂ダム(愛媛県大洲市)  西日本豪雨で野村ダムと鹿野川ダムからの大量放水による死者が出た肘川水系で建設中のダム(事業費850億円)。利水と治水のための多目的ダムだったが、治水専用に計画変更。
4位 山鳥坂ダム(愛媛県大洲市

4位 山鳥坂ダム(愛媛県大洲市

 肘川水系ではダム建設ばかりが優先され、下流域の堤防補強や浚渫など、安価で即効性のある治水対策は後回しの状況が続いている。
4位 山鳥坂ダム(愛媛県大洲市)

4位 山鳥坂ダム(愛媛県大洲市)今回の豪雨災害で「ダムでは洪水を防げないのでは」と、住民のダム建設反対の声が強まっている

 そしていよいよワースト3。ここにランクインしたのは、西日本豪雨で高梁川水系の大被害最大の原因という可能性も指摘されている、岡山県の新成羽川ダムだ。
3位 新成羽川ダム(岡山県高梁市)

3位 新成羽川ダム(岡山県高梁市)中国電力管理の発電用ダムで岡山県内最大規模。今回の豪雨で大量に緊急放流し、下流域の水害の一因ではなかったかと疑われている

3位 新成羽川ダム(岡山県高梁市)  倉敷市真備町地区など西日本豪雨で大きな被害を出した高梁川流域(水系)で最大規模のダム。高梁川支流の成羽川に位置する発電用ダムで中国電力が管理しているが、’72年の大水害でも「ダムからの大量放水が原因」として訴訟にまで発展。治水よりも利水を優先した電力会社が事前放水を十分に行わず、ダムをほぼ満杯状態にしていたのではないかと問題になった。  今回も同じ過ちを繰り返した可能性が取り沙汰されている。
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ワースト1の危険なダムはここだ!
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