四半世紀の時を経てコロンビアで再びコカイン生産が増大。搾取の構造にメスを入れなければ変わらない

白石和幸

コカ栽培復活の弊害はすでに現れている

 カルテルやゲリラ組織が麻薬が生産されている地域に入り込むようになると犯罪も増える。特に、誘拐と殺害である。検察当局の報告によると、麻薬の生産で成長している地域の自治体での殺害は140%増加しているという。今年4月にもエクアドル紙『El COMERCIO』の記者が誘拐されてそのあと殺害された。(参照:「El Mundo」)  また、このコカインの生産増加で米国やヨーロッパでコカインの密輸入が急増している。  米国の疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、米国では毎日200人が麻薬の依存過多で死亡しているという。(参照:「Hispan TV」)  ヨーロッパでは麻薬の密入国の玄関となっているのはオランダとスペインであるが、後者のアンダルシア地方に所在するアルヘシラス港とその周辺地域ではコカインが昨年の同時期に比べ今年は3倍の量が密輸入されているという情報もある。(参照:「El Pais」)  本当にコカインを撲滅しようと思うのであれば、除草剤を撒いたり自主的な栽培放棄に頼るのではなく、大した儲けにならないのにコカ栽培に頼らざるを得ない貧農の現実を直視し、そうした農家を利用するカルテル、さらには先進国の犯罪組織、そしてコカインを嗜好する欧米富裕層などへと繋がる「搾取」の構図にメスを入れなければ、何も変わらないだろう。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
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