国民民主党代表選直前。玉木雄一郎現代表がSNS発言で非難轟々。こんなんで国民民主党は平気なのか?

最低賃金の規定を取っ払って高齢者を働かせる政策

“Googleは就職の条件から大卒を撤廃する。AI時代、採用時の学歴、年齢、性別による差別禁止は当然。それと人生100年時代、これからは定年制の撤廃も不可避だ。私は高齢者就労を応援したい。そのためには、本人の同意など一定の条件の下、最低賃金以下でも働けるような労働法制の特例も必要だと考える。”――玉木氏のTwitterより  民主党政権時代、長妻昭さんが「消えた年金がどこに行ったのかを明らかにする」と息巻いて、厚生労働省の官僚たちとバチボコ戦った末に干されてしまい、まったく力を持てなくなってしまった苦い経験がありますが、あれから10年ほど経って、国民民主党のオジサンたちは何を言い出したのかと言うと、渡せる年金はどんどん少なくなるのだから、高齢者が働ける環境を整えることが大切だということで、高齢者については最低賃金という概念を取っ払い、最低賃金の7割くらいのお金で雇ってもらえるようにするべきだと言い出しました。そもそも「最低賃金」の意味をわかっていないとしか思えない政策です。  どうして世の中に「最低賃金」なるものが存在するのかと言うと、いろんな会社が人件費削減を言い訳に賃金を安くしてしまうと、ワーキングプアすぎて生活が成り立たない人が出てしまうためです。高齢になって、多少食が細くなったり、どこかに出かけるのが面倒臭くなったりして、若者よりお金を使わないこともあるかもしれませんが、生活にかかるお金は若者とほとんど変わりません。それどころか医療費や薬代がかかるばかりで、これから自己負担額が大きくなっていくことを考慮すると、現在の最低賃金でも足らないくらいです。  にもかかわらず、最低賃金を取っ払って雇ってもらおうと言い出すのですから、玉木雄一郎さんは低賃金で働く人たちの現実を何もわかっちゃいません。こんな人が国会議員をやっているから、僕たちの気持ちが国会に届かないのではないでしょうか。

高齢者向けベーシックインカム(月7万円)の導入

“もう一つ補足して言うと、私は尊厳ある最低限の生活保障をすべての国民に提供すべきと考えています。よって、高齢者向けベーシックインカムとしての月7万円の最低保障年金(給付)を提案しています。その上で、働く意欲を持った高齢者が、できるだけ職につける環境を整備していきたいと考えています。”――玉木氏のTwitterより  近年、注目されている「ベーシックインカム」ですが、「ベーシックインカム」の概念は、生活に必要最低限必要な金額を配る代わりに、さまざまな社会保障を削減するというものです。ただ配られるもののように感じるかもしれませんが、「ベーシックインカム」が導入されれば、基本的に年金はもちろん、医療費控除や薬代の負担も削減・廃止するのが一般的です。これにより、たくさん税金を払っても健康な人にはお金が返ってくることがなく、あまり税金を払っていないのに病気がちな人には手厚くお金が支給されるという不平等をなくすことはできます。  しかし、国家というのは本来、国民が助け合うためにあるので、健康な人に手厚いサービスがなくても、不健康な人が貧乏を理由に死んでしまうことがないようにすることが大切です。なのに、高齢者にベーシックインカムを導入するという発想は、弱者への福祉を手厚くするどころか、貧乏で病気がちな人たちをまともな医療にかからせずに死なせてしまうことにつながります。まるで「ベーシックインカム」で無条件にお金がもらえるかのように語り、デメリットを一切語らないというのは不適切もいいところで、これでは自民党も国民民主党も変わりません。
次のページ
重要な沖縄県知事選に悪影響も!?
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会