佐川氏は、財務省を辞した後に証人喚問されることになる。
証人喚問は、結果的には「刑事訴追のおそれがある」ことを理由に、野党の質問の殆どを拒否する結果となった。
“丁寧さに欠いたどころか、決裁文書に書いてあることとも正反対のことをこの場で答えたんですよね。何でそんなことされたんですか。”小池晃 書記局長(日本共産党)
“あの、やはりその件は、私自身がその書換えのその経緯、いつ書き換えたかとかそういうことを、まさに時期に関わるその話でございますので、そこはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。”佐川宣寿 証人
“これでは証人喚問の意味がありません。これも拒否するんだったら、これ以上聞いたって意味ないじゃないですか。私は改ざんについて聞いているんじゃないですよ。実際に国会の答弁をどういう根拠でやったか聞いたんですよ。これ、これで進めるわけにいきません。”小池晃 書記局長(日本共産党)
――3月27日 参議院予算委員会
一方、「総理の影響も総理夫人の影響もなかった」ことだけははっきりと答え、自民党議員も「関与はなかった」と高らかに宣言した。
佐川氏がいったい
何を目的としてこの場に立ったのかは、多くの人には明らかであっただろう。
“私が昨年勉強して、ずっと一連の書類を読んで国会で答弁をさせていただいた中でいえば、総理も総理夫人の影響もございませんでした。”佐川宣寿 証人
“少なくとも、今回の書換え、そして森友学園の国有地の貸付け並びに売払いの取引について、総理、総理夫人、官邸の関与はなかったということは証言を得られました。ありがとうございました。”丸川珠代 参院議員(自由民主党)
――3月27日 参議院予算委員会
改ざん、首相案件と多くの問題が明らかになる中、4月に入り、野党は、森友・加計問題で政府を追求する。まずは川内博史議員と大田充理財局長だが、そこで飛び出したのは驚愕の答弁だった。
“安倍昭恵総理夫人の名前が3か所記載されていることを中村課長は十分に知っていたということでよろしいでしょうか。”川内博史 衆院議員(立憲民主党)
”中村理財局総務課長に確認したところ、それは責任はありますが、正直に言うと、その時点においてそこまでちゃんと見ていなかったので、それは覚えていませんでしたというのが彼の正直な発言でございます。”大田理財局長(財務省)
――4月11日 衆議院予算委員会 集中審議
その後、枝野幸男立憲民主党代表が麻生大臣に問いただすと、大臣からはこのような答弁が帰ってきた。
“判こを押した当人が、決裁文書を読んでいませんでしたと公然とおっしゃる。役所として、たがが外れ過ぎじゃないですか。”枝野幸男代表(立憲民主党)
“ずうっと判こを押したやつの中を全部私ども読んでおるかと言われると、私自身も、正直、読んでいない書類に関していろいろ決裁の判こを押していることはありますから”麻生太郎 財務大臣(自由民主党)
――4月11日 衆議院予算委員会 集中審議
財務省のガバナンスは一体どうなっているのか、と疑問を抱かざるをえない。
さて、森友文書問題で国会が揺れる中、新たな問題が明らかになる(あらゆるところで火が付けばどこが火元かわからなくなるが)。
加計学園問題をめぐり、「本件は首相案件」と総理秘書官が発言していたのではないか?という問題だ。(参照:
「本件は、首相案件」と首相秘書官 加計めぐり面会記録:朝日新聞)
柳瀬総理秘書官は、当初このように「記憶がない」とコメントしていた。
“国会でも答弁していますとおり、当時私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。”柳瀬唯夫 審議官(経済産業省)(参照:
「記憶の限り…」加計学園問題 柳瀬氏コメント全文 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン)
この問題に関しては、加計学園への便宜供与という問題が取り上げられたのと同時に、
総理秘書官という重職にある人間の行動が記録されていないということがありうるのだろうか?という点も問題となった。
集中質疑でも当然議題に登るものの、総理は
「コメントする立場にない」などと
意味不明の答弁を繰り返した。
“愛媛県の担当者が聞いてもいないことを書いたんですか。そうでなかったとすれば、柳瀬さんがうそをついているか、どっちかしかないんですよ。違いますか、総理。”枝野幸男 代表(立憲民主党)
“先ほど申し上げましたように、愛媛県が作成した文書の評価について、国としてコメントする立場にはないわけでございます。”安倍晋三 総理大臣(自由民主党)
“論理的に、柳瀬さんがうそをついているか、愛媛県の担当者が聞いてもいないことを勝手に書いたか、二つに一つじゃないですかと聞いているんです。”枝野幸男 代表
“今お答えをしたように、愛媛県が作成した文書の評価について、国としてコメントすることはできないわけであります。他方、私は部下を信頼して仕事をしているところでございまして、総理秘書官在任中もそうでありましたが、柳瀬秘書官の発言を私は信頼しているところでございます。”安倍晋三 総理大臣(自由民主党)
――4月11日 衆議院予算委員会 集中審議
「コメントする立場にない」という言葉が何を指しているのかは理解できないが、いずれにせよ
総理はこれについて答弁したくないのだ、ということだけは理解できる。