これは東京版「モリカケ」か!? 不可思議な大田区への「羽田空港跡地」売却問題

情報非公開のプロジェクト。座長には和泉洋人・首相補佐官

和泉補佐官

プロジェクトの座長、和泉洋人・首相補佐官

 以下、さらに不可思議な点を列挙する。  まず、計画審議が非公開ということ。跡地は本来大田区のものだ。ところが2014年、空港跡地は国家戦略特区に指定され、国が「2020年東京オリンピックも視野に、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備する(後略)」との目的を定めると、国や自治体が協議を行う「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」(以下、委員会)が設置された。  ここから動きが怪しくなる。本来は区の土地であるのに、国家プロジェクトの場として国の配下に置かれるも同然になったからだ。この委員会の構成メンバーは、委員19人のうち14人が国土交通省や厚生労働省の局長クラスの幹部などで占められた。大田区からは幸田昭一副区長が参加しただけだ。  加えて、2016年、2017年、2018年と開催された3回の会議の議事録は非公開。当然、幸田副区長が何を訴えたのかの記録もない。わずかに2016年の会議で、大田区が跡地開発の原型ともいえるプランを提出しているが、それがどう話し合われたのかの形跡が一切ない。  この閉鎖性は何なのか。奈須りえ区議会議員(前出)は次のように訝しむ。 「委員会の座長に就任したのが、和泉洋人・首相補佐官であることが疑問です。こういった委員会で、政権中枢にいる人の座長就任はあまり例がありません」

不可解な羽田空港跡地利用について内閣府に質問

跡地

大田区が取得予定の羽田空港跡地

 本当に議事録は存在しないのか? なぜ和泉補佐官が座長に就任したのか? 筆者は、この疑問に答えてもらうべく内閣府に文書で質問状を送ると、以下の回答を得た。 質問1:「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」はこれまで3回の議事を行っておりますが、この議事録がインターネットでは閲覧できません。公開の予定はないのでしょうか。公開できない場合は、その理由も教えてください。 回答:「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進員会」の議事要旨については、「国の機関、地方公共団体等の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」という情報公開法に基づいて公開していませんが、委員会での論議の結果はHPで公開しています。 質問2:同委員会の座長には和泉洋人・内閣総理大臣補佐官が就任しています。和泉さんが座長に選出された経緯を教えてください。 回答:当委員会の設置主旨のとおり、 ①先端医療技術とものづくり技術との医工連携の推進 ②国際的な研究・交流・商取引を促進するための土地利用 ③周辺のまちづくりと一体となった戦略的な都市・交通インフラ整備等について、関係者間で対応方針の総合調整等を行う場であることから、社会資本整備、地方創生、健康・医療に関する成長戦略並びに科学技術イノベーション政策等を担当されている内閣総理大臣補佐官を座長としております。 質問3:同委員会には大田区からはただ1人、幸田昭一副区長が参加しております。幸田副区長は委員会のなかで何を訴えたのか、その記録はないでしょうか。 回答:第1回委員会において、大田区から提出資料の説明があったと承知しております 質問4:羽田空港跡地は1981年、国土交通省、東京都、大田区、品川区で構成される羽田空港移転問題協議会の確認書では「土地は都が取得して、土地の利用計画は大田区の要望を配慮する」ことになっていました。これが、いつ、どういう議論で「大田区が土地を買い取り、企業に貸す」との方針に転換されたのでしょうか? 協議会側の提案でしょうか? 大田区側の提案でしょうか? 回答:羽田空港移転問題協議会には、内閣府が構成員に入っていないため、回答はできません。  以上のように、具体的な回答は得られなかった。最後の質問4に関しては、大田区空港まちづくり本部からも回答を得ているので、以下紹介する(概要)。 回答:2008年12月の東京都議会第4回定例会において、東京都知事は羽田空港跡地に係る質問に対し、「跡地利用基本計画で定められた土地利用を実現する上で、都が跡地を一括取得する必然性はなく、基本的にそれぞれの施設の整備主体が土地の譲渡等を受けることが合理的」といった趣旨の答弁をしました。  つまり、2008年12月に都が「跡地は買い上げない」と方向転換したとの説明である。  ところが、さらに調べると、新たな疑問に突き当たるのだ。
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ここでも出た「文書不存在」
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