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「日本の整形外科は韓国に大きく水を空けられているといのが私の所感です。質、技術、価格。全てにおいて、韓国が遥か上をいっている。しかし、一向に日本の美容整形外科業界は変わらない。値段は経営努力でもっと下げることは可能です。それをしないのは奢り以外の何物でもない。このままでは日本の顧客も、韓国に流れる一方です。日本の美容外科業界は、変化が求められるタイミングに直面しているといえるでしょう」
こう話すのは、池袋にて東京美容医療クリニックの院長を務める高尚威(こう・しょうい)氏だ。中国で生まれた高氏は、7歳で日本に移り住み美容整形外科の道を志した。医科大学を卒業後、湘南美容外科などを経て、2017年に院を開設。安価でレーザー治療を受ける同院は、わずか1年間で芸能人も足繁く通うほど口コミを獲得するなど、評判を呼んでいる。
東京美容医療クリニックの院長を務める高尚威(こう・しょうい)氏
“これまでの美容医療の常識を壊したい”。高氏の胸には、開業当初からその言葉が秘められている。開業前には世界中の美容医療の現場に足繁く通い、世界の美容医療の最前線を知る人物でもある。
「日本の美容医療は暴利です」と断言する高氏に、美容整形の現状を聞いた。
――まず、高氏が感じている日本の美容医療の現状を教えてください。
高尚威(以下・高):世界の美容医療の基準からいえば、日本は大きく取り残されていると感じています。端的にいえば、値段が高すぎる。その最大の理由は、美容医療の現場の仕組みにあると捉えています。
美容医療の価格設定に関して比重を占めるのが、レーザーや薬品といった仕入れ原価。ただ、ほとんどの商品は海外からの輸入品なんですね。そこに日本の代行業者が間に入ることによって、値段が釣り上げる。院長も適正価格がわかれば良いんですが、ほとんどが言い値に近い価格で購入せざるおえないのが現状なんです。結果的に、施術価格が高くなり、一般のお客さんが気軽に手を出せる金額ではなくなるんです。
――利用者目線で運営を行っていない、ということでしょうか?
高:そういう言い方もできると思います。韓国やヨーロッパといった美容医療の先進国と比較すれば、日本の価格帯は倍近い。これでは、他国に流れても仕方ありません。
――とはいえ、日本人の感覚的に”安かろう、悪かろう”という意識はあると思いますが。
高:業界的な話しでいえば、技術や方法論は年々進歩しても、機材や薬剤自体は10年ほど前から大きく変わっていないんですね。つまり、価格に反映されるのは外科医の技術と院ごとの塩梅であって、ハード面ではない。日本の教育水準は高いので、技術的にはしっかりした医師が多く、質はよほど大掛かりな施術ではない限り大きく変わりません。
――例えば湘南美容外科は、非常に安い価格を前面に出しています
高:湘南美容外科に関して言えば、利用者の美容医療の認識を変えたと思っています。私もかつて在籍していたのでよく理解できるんですが、湘南は技術や施術の内容も高い水準にあります。初回だけの格安価格というわけではなく、2回目以降もそれをキープしている。だからこそ、リピーター率が非常に高いんですね。
そういった意味では、『美容医療はこんな価格で可能なんだ』という意識が出てきたのは湘南美容外科の功績といえるでしょう。美容業界でいうところ、ニトリさんやサイゼリヤさんの立ち位置にいると思います。湘南美容外科が浸透したことで、OLさんや主婦の方が施術のために韓国に行っていたような層を、国内に引き止める一因にはなっているのかな、と。