山口:篠田弁護士の著書「
ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた 夢がかなう勉強法」は、私も読ませていただき、感銘を受けました。とかく勉強法というと頭の使い方で、行動の仕方とは関係がないものと思いがちですが、この書籍で紹介されていることは、私には、行動のあり方を変えていくと、知識修得のスピードを加速して頭の使い方が高まるということのように思いました。
篠田:本書で紹介した指サック方式にしても、インデックス方式にしても、ほんの些細な行動を変えるだけで成果が格段に高まるのです。1日24時間、1年365日、時間は全ての人に平等です。同じ1時間を3倍に使う人と、0.5倍にしか使わない人とでは、成果に大きな差が出ます。加えて、すきまの時間を、ぼんやり過ごすか、意味ある時間にするか、自分次第だと思うのです。
行動してみて、ここはもっと効率よくできるのでは?など、初めてわかることがあります。行動することで知識を蓄え、更に行動を改善できるという好循環が、行動することでこそ回るのです。
山口:あれこれ考えたり、思いあぐねて、理屈をこねくり回したりしているだけで、行動をしなければ、何も実現できませんね。
篠田:私は、今の日本は、国と国民にしても、会社と社員にしても、あらゆる団体における内部の力関係がアンバランスに思えてしょうがないのです。法律を知らないから、アンバランスを是正できず、弱い者が強い者に巻かれて更にアンバランスを助長してしまう。このことが、パワハラやセクハラにしても、果てしなく大きな社会問題につながっているように思えてならないのです。
アンバランスな状態を是正するには、一人一人が法律に親しんで、自分の行動を変えていくことが不可欠です。法律は誰でも学べます。そして、必ず武器になり、相手の行動も変えるきっかけになります。法律のあらましを知ることは、自分を守る、会社を成長させる、国を発展させることに間違いなく役立つのです。
対談でも紹介した、篠田弁護士の法律の勉強法の中に、指サックを付けて頁をめくる、メクリッコ勉強法があります。頁をのんびりめくるだけで勉強した気持ちになって身に付いていない勉強法は全く役に立たない、頁をめくる時は指サックをつけて素早くする…という行動をするだけで、勉強がはかどり、知識修得や思考を加速させるという手法です。
意識が変わらなければ行動が変わらないと言う人がいますが、私は全く逆で、行動が意識や思考を変えると考えています。篠田弁護士の法律の捉え方や勉強法は、まさに行動が思考を変える典型的な例で、分解スキル反復演習の考え方と共通なのです。この対談記事で、篠田弁護士の「国民の法律に対する理解を高め、国を発展させる」という強い思いをお伝えできていれば幸いです
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第96回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある