ビジネスパーソンはリーガルセンスを身につけて身を守れ

山口博

山口博氏(左)とへいわ総合法律事務所の篠田恵里香弁護士(右)

 企業倫理が問われる事件からハラスメント、過労死に至るまで、法律に関する事件が連日メディアを賑わしている。今回は、テレビ、ラジオで大活躍の篠田恵里香弁護士を迎えて、若手ビジネスパーソンが、いかに法律に関わってパフォーマンスを上げていったらよいのか、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫る。

法律は自分を守るために役立つ

山口博(以下、山口):働き方関連法案が成立し、2019年4月から順次施行されていきます。法律の改正は、一人一人のビジネスパーソンの活動に影響してきます。

篠田恵里香弁護士

大卒後、外資系ホテルへの勤務経験を経て弁護士へ。メディアにも数多く出演している

篠田恵里香弁護士(以下、篠田):法律というと、難解なものと敬遠してしまいがちですが、実は、法律を少しでも知っていることは、一人一人のビジネス活動にとても役立つのです。

例えば、残業時間が長い、休みがとれない、という状況の時に、関連する法律に少しでもなじみがあると、問題ではないかと違和感を感じるだけでなく、会社の言いなりにならずに「声をあげてみよう」という行動力につながっていきます。

法律を知らないことが、弱い者が強い者に巻かれる状況を助長しているともいえるのです。

商取引でも同じです。よくある「強い会社が弱い会社を食い物にする」ケースは、公正取引に関する法律を知っていれば泣き寝入りせずにすみます。

また、会社間の取引の時効は5年なのですが、5年という年月は意外にあっという間に過ぎます。5年経って1億円の請求権が消えてしまったという事態は、法律を知っていれば防げたはずです。法律の知識は、一人一人のビジネスパーソンを守る強い武器になるといえます。

山口:しかし、法律を学ぶといっても、なかなかとっつきにくいものではないでしょうか。

篠田:法律を全部知る必要はないのです。このケースはだいたいこの法律かな、こんなルールないかな、と意識できる程度で十分です。

それに、法律は、六法全書を読まなくても、司法試験の勉強をしなくても、色々な方法で学べます。例えば、「残業 法律」といった用語で検索するだけでも、厚労省のHPなどにアクセスできますし、「総務省+~~法」で検索すれば、法律の全文も知ることができます。

官公庁のHPには、法律のポイントをまとめたリーフレットなども掲載されています。法律は、必要に応じて触れ、イメージをつかむことが大事ですね。

山口:ビジネススキルを向上させるための演習をしていると、細部にこだわり過ぎるあまり、本来の目的を達成できなくなってしまう状況に遭遇することがよくあります。例えば、会議で合意形成しようとする時に、たくさんある細かな問題をはじから解決しようとしたら、時間切れになってしまったりするものです。

最も深刻な問題から合意形成していけば、実は全ての問題を解消しなくても、参加者の合意形成という目的は実現しやすくなります。これと同じで、「木をみて森を見ず」の状態にならないようにするとよさそうですね。法律というと、重箱の隅をつつくものという間違った先入観を持ちがちですから。

篠田:法律を隅々まで知ろうとするから、手を出せなくなり、法律は弁護士に、法務担当に、と投げたくなるのかもしれません。他ならぬ自分が気になる、興味のあることだけでよいので、知りたいと思う気持ちを大切にして、法律に触れてみるとよいと思います。そして、「法律ではここがボーダーライン」という境界線さえ抑えておけば、法律を日々の活動に活かせるようになります。

山口:法律を日々の活動に活かすということは、法律の境界線をふまえながら、自分自身が行動していくということになりますね。

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ビジネスパーソンの法知識が重要な時代に

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