沖縄県知事選、最期まで沖縄を守るために生きた翁長知事の遺志を継ぐ戦いの行方
2018.08.18
翁長雄志さんは「保守」の政治家です。
翁長雄志さんを推してきた地元の有力者たちは、けっして共産党や社民党を支持しているわけではなく、あくまで「保守」である翁長雄志さんを推してきたのです。だから、翁長雄志さんに万が一のことがあったとしても翁長雄志さん以外に考えられない。これが「オール沖縄」の現実なのです。
翁長雄志さんは亡くなりました。本当はもう少し悲しみに暮れる時間が欲しいところですが、涙を流す時間的余裕はありません。翁長雄志さんがやりたかった「本当の意味で沖縄を守る」という遺志を継ぎ、立候補する人物を探さなければならないのです。
「オール沖縄」は26日までに話をまとめるとしており、仮に「革新系」と言われる人の中から候補者を立てる場合でも、本当の意味での「保守」の思想が理解できる人でなければまとまりません。ただ、これまでに入っている情報を精査すると、どうやら有力候補が浮上しているようで、そこまで難航しているようには見えません。さまざま可能性を考え、協議を続けているところだと思いますが、もしかしたら翁長雄志さんと同じくらい沖縄県民に愛される候補が誕生するかもしれません。もう少し沖縄に滞在し、取材を続けたいと思います。
翁長雄志さんの知事としての責任感
佐喜眞淳さん陣営が主張し始めた「沖縄の分断」
自民党・公明党推薦で沖縄県知事選に立候補を表明している佐喜眞淳さんは、「基地問題に反対しているオール沖縄が沖縄県民を分断している」と主張し始めました。
確かに、基地問題は「賛成派」と「反対派」がいますが、みんながみんな同じ感性であるはずがないので、どんなものにも意見の対立は起こります。
例えば、みんなで旅行をするとしましょう。ある人は北海道に行きたいと言い、ある人は沖縄に行きたいと言ったとします。北海道は連日の猛暑を忘れられるくらい涼しくて、広い大地に花が咲き、美しい景色と、味噌ラーメンやスープカレー、海の幸が美味しくて最高です。いやいや、どうせ暑いなら沖縄でゆったりとした時間を過ごし、青い空に青い海、泳いで踊ってステーキを食べて、泡盛パーティーしちゃいましょう。意見は対立するけれど、それで「分断」されることはありません。「ステーキおごるよ」とか「泡盛パーティーに沖縄の友達を誘っちゃうよ」とか、さっきまで北海道に行きたかった人たちに「沖縄に行ってもいいかな」と思わせることで、意見をまとめることができるからです。そして、これをするのが本来の政治家の仕事です。
ところが、分断が起こるというのはどういう時かと言うと、北海道に行きたかった人の分まで沖縄行きのチケットを取ってしまうことです。まったく行きたくなかった沖縄の飛行機を勝手に取って料金を請求する。その人は飛行機恐怖症で、新幹線で北海道に行きたかったかもしれないのに、有無を言わさず、沖縄行きの飛行機のチケットを取ったらどうでしょうか。たぶん「行かない」ということになるでしょう。それでいて「行かないのはオマエが悪いんだからキャンセル代はオマエが払え」とか言ったら、友達は終わります。これが分断です。
では、基地問題はどうなっているでしょうか。自民・公明党で構成される「政権側」は、反対する人たちの意見を聞かずに工事を強行しました。実力行使をしているのはオール沖縄ではなく、安倍政権であり、分断を作り出しているのは他でもない安倍政権にもかかわらず、沖縄県民を分断しているのはオール沖縄だと主張し始めたのです。
これはもう完全に、自分からぶん殴っておいてコイツが悪いのパターンです。
しかし、モリカケ問題にしろ、公文書改竄問題にしろ、いろいろな問題が起こっても「日本を守る」とか言っていれば応援されてしまうのが今のニッポン。「オール沖縄が分断しているんだ!」と大きな声で言えば、ネトウヨを中心に「分断!分断!」の大合唱です。こうして日本がどんどん偏っていく。新しい基地ができ、オスプレイが落ちて、沖縄県民が新たに死ぬようなことがあっても「こんなことがないように沖縄を守る!」とか言っておけば、まるっと解決。日本はチョロいのです。
選挙ウォッチャーの分析&考察
選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中
ハッシュタグ
