沖縄県知事選、最期まで沖縄を守るために生きた翁長知事の遺志を継ぐ戦いの行方

在りし日の翁長知事

 8月8日、沖縄県副知事の謝花喜一郎さんが記者会見を開き、沖縄県知事の翁長雄志さんに意識の混濁が見られるようになったため、しばらくの間、知事の仕事を代行すると発表しました。

 この日の記者会見で初めて、翁長雄志さんの病気の状態があまり良くないことを知らされることになったのですが、その日の晩、翁長雄志さんはそのまま天国へと旅立ってしまいました。翁長雄志さんのお通夜は10日、告別式は13日に行われ、政治家はもちろん、経済界や米軍からも別れを惜しむために各関係者が駆けつけ、そこには辺野古基地の建設をめぐって対立していた菅義偉官房長官の姿もありました。

 基地をめぐる意見は大きく違えど、そこは同じ政治家です。本当の心の内は分かりませんが、それでもお悔やみの気持ちがなければ、お通夜に駆けつけることはなかったでしょう。翁長雄志さんが亡くなったことは、沖縄の未来、いや、日本の未来に大きな影響を及ぼす政治的に重大な出来事。なので、お通夜が10日、告別式が13日であることは多くの関係者に共有されていたはずで、菅義偉官房長官がお通夜に参列しているのですから、安倍晋三総理が知らないはずはありません。そして、こちらが告別式が行われる13日の12時45分にTwitterでアップした安倍晋三総理のツイートです。



 これはけっして不注意なんかではありません。翁長雄志さんの告別式があることを知りながら、あえてアップされている安倍晋三総理のメッセージです。

 どこぞのインスタ女子じゃあるまいし、日頃からかき氷を食べる姿をアップしているわけでもないのに、わざわざアップする必要のない「かき氷を食べる写真」を載せる。嫌いな奴が死んで、今日もかき氷がうまいのです。とても大人とは思えませんが、これが「日本の総理大臣」なのです。今さら始まった話ではありませんが、この国のイカれっぷりは、なかなかハイグレードです。

翁長雄志さん以外に選択肢がなかった「オール沖縄」の衝撃

 翁長雄志さんの突然の訃報を受け、世の中がお盆休みでウェイウェイする中、一年で最も飛行機代とホテル代が高いシーズンに沖縄に入り、取材することになりました。お財布へのダメージを考えると、産卵するウミガメのように涙が出てきますが、どこより早く情報をお届けしたかったのです。翁長雄志さんの遺志を継ぎ、「オール沖縄」は誰を擁立するのでしょうか。

 関係者に話を聞いていくと、衝撃の事実が明らかになりました。

 沖縄県知事選は当初、今年の11月に行われる予定だったのですが、あれだけ痩せ細って体調を不安視する声があったのに、「オール沖縄」は翁長雄志さん一択で、それ以外の選択肢を用意していなかったのです。つまり、「万が一」のことは何も想定していませんでした。さすがに亡くなることは想定しなかったとしても、入院する可能性は否定できないだろうに、そういう「万が一」には何も備えていなかったのですから、あまりにピュアすぎます。なので、自民党や公明党が推す政権側の候補が宜野湾市長の佐喜眞淳さんに一本化される中、翁長雄志さんを失ってしまったオール沖縄に持ち札はなかったということになります。

オール沖縄が翁長雄志さんしか考えられなかった理由

 今となっては多くの人が「オール沖縄」を、共産党や社民党が中心の「革新系」だと思っているかもしれませんが、そもそも「オール沖縄」は「保守」であり、翁長雄志さんは自民党出身の政治家です。本当の意味で沖縄県民を守るためにやるべきことは「基地をなくすこと」であり、世界で何があっても、この沖縄を再び戦地にすることがあってはならない。また、沖縄経済を停滞させている元凶こそが基地であり、これらを解消するには基地を縮小することはあっても拡大することはない。翁長雄志さんは本来の「保守」としての考え方で、命を削ってまで辺野古基地の建設に反対したのです。

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翁長雄志知事が命懸けで守ろうとしたもの

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