売られていた製品。あろうことか、“原作者”であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名がどこにも記載されていない。
昨年のクリスマスの時に、樹齢150年の
「あすなろの木」を伐採してきて、神戸のメリケンパークに
「世界一のクリスマスツリー」とハッタリをかまして展示した人物と騒動を覚えているでしょうか?
めちゃくちゃ大きな木なので、世界一の高さかと思いきや、実際にはもっと高いクリスマスツリーが存在していたため、メッセージを書けるオーナメントを販売し、そのオーナメントの数で世界一を目指そうと言い出したのです。しかし、それではただオーナメントを販売したいだけのオジサンであり、
「そんな自分勝手な理由で樹齢150年の大木を切ってくるなんて頭イカれとんのかいな!」という批判が殺到すると、今度は
「阪神大震災で亡くなった方々への鎮魂だ」と言い出し、いかにも後付けっぽい理由に
「オマエみたいな者に鎮魂されたくないわ!」と怒る人が続出し、大騒動に発展したのです。
この一連の仕掛け人が西畠清順さんでした。この騒動で、彼の名は
「人の心を土足で踏みつけるヤツ」として認識されるようになりました。
あの騒動から約8か月経ち、みんなが西畠清順なんていう人のことを忘れかけていた矢先、またしても人の心を土足で踏みつける出来事が起こりました。
それが
「星の王子さま」に登場するバオバブの木を販売する事件です。
「星の王子さま」はフランスの作家、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの有名な作品ですが、フランスでは例外的に死後100年まで保護されているコンテンツになっています。ただし、日本では死後50年で著作権は切れるため、この
「星の王子さま」は誰もが自由に使えるコンテンツになりました。
それまで
「星の王子さま」の演劇をやりたいという時には著作権料の相談をしなければなりませんでしたが、今は
「星の王子さま」の演劇をやっても、
「星の王子さま」の小説を出版し直しても、著作権料を支払わなくても良くなったのです。
一応LPP612 2018と許諾クレジットはあり、商標権的な問題はクリアしているが、パブリックドメインだからと何をしてもよいのかというとそうではないことは明らか
それはモーツァルトやベートーヴェンの曲に著作権がないのと同じで、僕がコンサートで西野カナさんの曲を歌う時には著作権が問われますが、モーツァルトの曲を演奏しても著作権が問われることがないのと同じです。ここで大切なことは、モーツァルトの曲は
「みんなのもの」であって
「僕のもの」ではないということです。当たり前ですが
「今日からモーツァルトの曲は僕のものなので、印税をいただきます」と言い出す奴がいたら、
「なんでだよ!」とツッコむに違いありません。
それを踏まえた上で、このたび西畠清純さんは
「星の王子さま」の著作権が切れたのをいいことに、オリジナルの
「星の王子さま」を発表したのですが、このオッサンが何をぶちかましてくれたのかをよく見ていただきたいと思います。
「星の王子さま」をアレンジして、ストーリーの中に自分を登場させ、
「バオバブの木はみんなから嫌われて寂しかったんだ!」みたいなことを言っているわけです。世界中に大ファンがいるストーリーを、いきなりテメエが出てきて、めっちゃくちゃにしてくれているのです。これがどれくらい愚かな話なのかを
「浦島太郎」を使って、皆さんにお見せしましょう。
むかしむかし、あるところに浦島太郎という心優しい若者がいました。浦島太郎が海岸を歩いていると、子どもたちが亀をイジメていて、浦島太郎は「亀をイジメちゃいけないよ」と子どもたちを説得し、亀を助けてあげました。・・・と、ここでお待たせしました、僕、登場!「社長、見てましたよ、亀を助けるご活躍! さすがっすね、僕に1杯オゴらせてください!
うち、この近くで「竜宮城」っていうお店をやってましてね。このお時間ですと、60分飲み放題で6000円に、税・サービスでプラス25%なんですけど、うち、基本的に最初から飲み放題なんで、社長に1杯オゴらせていただくという意味で、社長に付く女のコのドリンクをフリーにしちゃいますんで、6000円に税サ25パーなんで、60分7500円なんですけど、なんですけどぉで、今日、本当にいい女のコ揃ってるんですけど、この暑さじゃないですか、ここ、あんまり人歩いてないんですよ。なんで、うち、普段あんまりこういうことしないんですけど、税サ25パーカットで、6000円で。女のコのドリンクがフリーなんで、ドンペリとか入れなければ基本的に最初の60分なら絶対に6000円ポッキリで。6001円以上になったら、本当にもう警察に行ってもらって構わないんで。そこから先の延長はお客様次第ですけど。社長、乃木坂好きですか? 白石麻衣ちゃんとか。もうちょっとロリっぽい方がいいっすか? 白石麻衣ちゃん、可愛いっすよね。うち、白石麻衣ちゃん似で、ナンバーワンで、乙姫ちゃんって子がいるんですけど、これ、乃木坂好きだったら絶対間違いないっすよ。白石麻衣をGカップにした感じ。どうですか、社長!」
……。これはもう
「浦島太郎」ではない。ただのキャッチの兄ちゃんの勧誘を文章にしたヤツです。幸いにも
「浦島太郎」はCMですらパロられているので、誰も怒る人はいないんでしょうけど、このストーリーを
「浦島太郎」だと言われたら、
「子どもにどうやって見せるんだ、バカタレ!」という話です。さて、西畠清順さんがやっている
「星の王子さま」は、世界中にファンがいるくらいに愛されている作品なんですが、西畠清順さんは一体、何をしてくれたのでしょうか。