全米ベストセラーの在日朝鮮人の年代記『PACHINKO』が、今度はドラマ化。気になるその内容とは?

安達夕
pachinko

全米ベストセラーとなった小説「PACHINKO」表紙より

 韓国と日本を舞台にした在日韓国・朝鮮人の4世代にわたる年代記で、2017年の全米図書賞の最終候補になるなど全米ベストセラーとなった『PACHINKO』が、さらにアメリカでテレビドラマ化されるという。(参照:「Hollywood Reporter」)

 かつて日本でも、1996年に日本テレビ系列で『グッドラック』というパチンコ店を舞台にしたドラマが放送されたことがある。

 主演の松本明子が、父親から引き継いだパチンコ店を、競合店やゴト師らと戦いながら繁盛店に変えていくというサクセスストーリー。放送時間帯が22時スタートのプライムタイムでの放送だったということや、脚本に『ドクターX~外科医・大門未知子~』などを手掛けている寺田敏雄氏を据えるなど、かなりの力の入れようであり、平均の視聴率も16%を超えていた。

 しかしそれも20年以上も前の話。

 ギャンブル等依存症が社会的な問題として取り上げられる昨今、「パチンコ」に対する社会的非許容の風潮が強いなか、日本ではなくアメリカで(パチンコは日本にしかない)、ドラマ化されるとはどういうことであろうか。

韓国系アメリカ人作家が見た「在日」

 ドラマ化されるという『PACHINKO』は、元はアメリカで出版された小説。韓国系アメリカ人のイ・ミンジンの作品だ。

 彼女が書いた『PACHINKO』という小説が、アメリカの全米図書賞最終候補作に残り、またニューヨークタイムズ紙が発表する「2017年、この10冊」にも選定されたことから、にわかに『PACHINKO』がブームとなった。

 イ・ミンジンは韓国生まれ。7歳の時に、両親とともにニューヨークに移住する。「鼠の出る小さな部屋一つのアパートに家族5人で暮らした」という彼女は、貧困と戦いながらイエール大学の歴史学部、ジョージタウン大学のロースクールを卒業し企業弁護士として活躍する。その後、体調を崩し弁護士の仕事を離れたことを機に作家としての活動を始めた。

 彼女が、小説『PACHINKO』を書いたのは、日系アメリカ人の夫の転勤により4年間を過ごした日本での生活がきっかけだった。

 彼女自身が移民として苦労したこともあり、ルーツは違えども、元々日本に住む在日韓国人・朝鮮人に深く興味を持っていた。また彼女は、「朝鮮人」とバカにされ自殺した中学生の話を大学の授業で聞いた時から、どんな形であれ、在日韓国人・朝鮮人の事を書きたいと思っていた。

 この4年間に彼女は、数十人の関係者と会い、そして『PACHINKO』という小説を構想したという。

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在日を素材にした物語に存在するドラマツルギー

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