過去2年で最大規模のIPOとして話題沸騰の「中国鉄塔」。上場で目指すは、世界最大の5Gネットワーク

中国の巨大携帯電話市場で基地局ビジネスをほぼ独占

 三大通信運営商が基地局を譲渡後、基地局は中国鉄塔の資産となり、基地局の運営や三大通信運営商への基地局のリースが中国鉄塔の主要事業である。  中国では2018年6月末時点で携帯電話サービスの加入件数が約15億件(日本は同時期で約1億7千万件)に達し、加入件数ベースでは世界最大の携帯電話市場だ。そこで基地局の運営とリースをほぼ独占する中国鉄塔の事業規模は極めて巨大である。中国鉄塔は三大通信運営商からのリース料が主な収入源で、2017年通期の売上高では三大通信運営商からの収入が99.8%に達した。事業内容から急速な規模拡大や成長は期待できないが、引き続き大規模で安定した収入を期待できる。  そんな中国鉄塔だが、中国でも一般消費者の認知度はあまり高くない。中国鉄塔にとって直接的な顧客は三大通信運営商であるため、それは当然とも言える。三大通信運営商は中国鉄塔の資産を用いて一般消費者に携帯電話サービスを提供するが、大半の一般消費者はそれを意識しないだろう。  基地局にはさまざまなタイプが存在するが、比較的大型の鉄塔には所有者の社名を掲示することが多い。旧所有者の社名が未撤去の場合もあるが、中国鉄塔の社名が掲示された鉄塔を見れば中国鉄塔の事業内容を理解しやすいかもしれない。都市部などに多いコンクリート柱なども中国鉄塔の資産で、大型の鉄塔以外は社名を掲示しないことが多いが、実は中国の街中には中国鉄塔の資産が溢れている。

コンクリート柱も中国鉄塔の資産(遼寧省丹東市)

巨大上場だが、中米間の摩擦がネックに

 中国鉄塔は2018年5月14日付けで上場の申請を香港証券取引所に提出し、2018年8月8日に予定通り上場を果たした。  上場前に公開した計画書では公開価格の仮条件は1株あたり1.26香港ドル~1.58香港ドル(約17.83円~22.35円)で約431億株を売り出すとし、調達額は最大で680億香港ドル(約9,620億円)を超えると期待された。しかし、公開価格は仮条件の下限となり、調達額は543億香港ドル(約7,682億円)にとどまった。  実質的な国策企業ゆえに人気が高まらず、また電気通信分野で主導権の掌握を狙う中米間の摩擦が不安視された。米国政府が米国企業に対して中国企業との取引を制限した場合、部品や特許を含む技術の取引が困難となり、中国鉄塔の事業にも影響を及ぼす可能性があるとの見方だ。  中国の中興通訊(ZTE)はすでに事業再開したが、米国政府の制裁で米国企業との取引を禁止されて事業停止に追い込まれたように、中米間の摩擦は中国鉄塔を含めて中国の電気通信分野の企業にとって不安材料だ。それでも、中国鉄塔は過去2年で最大規模の新規株式公開となった。  ちなみに、上場後の出資比率は中国移動が28.5%、中国聯通が21.1%、中国電信が20.9%、中国国新控股が4.5%、H株株主(※香港市場から投資を行っている株主)が25.0%である。

中国鉄塔の最大株主である中国移動(吉林省延辺朝鮮族自治州琿春市)

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世界最大の5Gネットワークへの胎動
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