【ついに米国が「中国潰し」に本気で乗り出す】ある意味、資本主義市場と社会主義市場の対立といえる。落とし所は武力衝突しかない?
アメリカが7月6日、中国から輸入する818品目に対する関税を25%引き上げ、これに対して中国も同規模の報復関税を実施。すると米国は10日、さらに2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにした。互いに報復を繰り返し、対立を深めているのが現状だが、この状況をどう読み解き、投資に繫げたら良いのか。経済評論家の渡邉哲也氏はこう解説する。
「まだ十分認識されていませんが、アメリカと中国はすでに冷戦状態に入っているのです。典型的なのは、南シナ海の対立。中国が領海だと主張している地域を、アメリカの軍艦が『航行の自由作戦』と称して威嚇行動をとっている。これはもう戦争なのです」
アメリカは中国の台頭に近年、警戒を強めていたが、米朝首脳会談の期間中はいったん問題が棚上げされていた。しかし北朝鮮問題の道筋が立ったところで、再び中国との対決姿勢を明確にしたのである。
「中国人全員が日本人やアメリカ人など先進国と同等の水準の生活をするためには、地球が3個分必要。これ以上発展すると地球が持たないし、先進国が持っている資源や権益を奪われていく。ただし、中国の経済規模は大きすぎて潰せないので、アメリカとしては『縮小して切り離す』という戦略を取っているのです」
それが如実に現れたのが、中国の大手通信機器メーカー「中興(ZTE)」に対してアメリカが下した制裁措置だ。ZTEはダミー会社などを使ってアメリカから北朝鮮、イランなどに通信機器を輸出し、法令違反を繰り返していた。ZTEは罰金支払いを命じられた後も虚偽報告を続けていたため、今年4月にはアメリカ商務省は、アメリカ企業がZTEへ製品販売することを7年間禁止。さらに、今後はアメリカ国防総省に関わる企業は、中国製品を一切使ってはいけないというルールが定められる見通しだ。
「次世代の通信技術である5G規格の開発についても、アメリカは中国を排除しようとしています。国防の基本は通信ですから。これまで中国はWTOに加盟して資本主義を取り入れてきたが、近年は国際ルールを無視した横暴ぶりが目立ってきました。スリランカの港湾を99年租借するなど、通常の国際ルールでは認められていない手段で、権益を拡大し続けているのです」