あらゆる意味で、ビットコイン(BTC)の周辺環境は今年に入って、劇的に変化した。昨年12月につけた1BTC約250万円の最高値から、年始は半分以上の70万円に下落、今年1月26日に最大手取引所・コインチェックで日本円にして約580億円もの仮想通貨ネム(NEM)の盗難流出事件が発覚し、さらに下落した。
’18年上期の動向について、仮想通貨事業を手掛けるフィスコデジタルアセットグループ代表取締役の田代昌之氏は、「年明けまでの過熱感は、まさしくバブルでした。しかしコインチェックの一件があって以降右肩下がり。2~3月には業者に金融庁の立ち入り検査が入り、6月には大手登録業者を含む6社が行政処分を受け、BTCは60万円半ばまで落ち込みました。現在は80万円前後で推移している状況です」と振り返る。
【バブル去りし後仮想通貨の真価が問われていく】会見で流出事件を謝罪するコインチェック経営陣。これを機に仮想通貨は軒並み暴落。規制強化の流れが一気に加速することになった。 写真/時事通信社
仮想通貨バブルはなぜ崩壊したのか。同氏は、「昨年12月にアメリカの先物取引大手がBTC先物取引市場をスタートし、先物ヘッジファンダーが一気に参入したことが影響しました。彼らは下落傾向になれば、売りを仕掛けるので、事件を発端にその売買がインパクトを与えた」と背景を説明。
そして、最大の要因は「バブルの感覚を作ったのは、投資の経験が全くない初心者投資家たちです」と指摘する。
「そもそも仮想通貨には株のようにPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの投資尺度がない。そこを理解できないのなら、手を出すべきではなかった」