大会直前のハリル監督解任などゴタゴタの中、予想以上の活躍を示したサムライブルー。次の課題は次世代の発掘と育成だ JMPA代表撮影(渡部薫)
“おっさんJAPAN”と揶揄された日本代表の次世代は?
日本中が湧いた、サッカーロシアW杯。日本代表は強豪ベルギーをあと一歩の所まで追い詰め、大会前の下馬評を覆した。ただ長谷部誠、本田圭佑、吉田麻也ら主力選手は軒並み20代後半から、30代を超えている。4年後の’22年のカタールW杯で主力を張るのは現実的ではない。各育成年代に詳しい、サッカーライターの川端暁彦氏はこう分析する。
「短期的には今大会のメンバーでまだまだ戦える。しかし、彼らに頼ったままだと、カタールW杯予選で問題が表面化することが懸念されます。4年後に30歳を超える乾や吉田、大迫といった選手に頼り続けるのはリスキーです。むしろW杯予選で冒険するより、今からリスク承知で若手を積極的に起用していくべきでしょう」
近年では、育成世代の国際大会での結果は芳しくない。U-20W杯では、’17年はベスト16入りを果たしているものの、’09年からは4大会連続で、アジア予選敗退の憂き目にあっている。
「ロシアで主力だった世代は、かつてないほど確実に世界のトップレベルへ肉薄してくれた。ただ、これからの世代の選手はまた別の話だと捉えています」
次世代を担う若手選手が育っていないのか。
「今の若手にも将来のスター候補生達がいます。21歳以下の東京五輪世代でいえば、オランダ一部の堂安律(FCフローニンゲン・20歳)が筆頭でしょう。’17年のU-20W杯でも4試合3得点と存在感を放った。小柄ながら、推進力と技術に長けた左利きで、周りを巻き込むパワーもあり、“ポスト本田”の一番手といえるでしょう。また、彼はメンタルが非常に強い。『世界一の選手になりたい』と話していますし、海外の選手に負けないハートの強さがある。常にビックマウスで、そこから自分を追い込む所も、本田に似ていますね」
まだ10代ながら、17歳の2人も注目のタレントがいる。「高校生で名古屋のレギュラーになった、菅原由勢(17歳)。技術・運動能力・知性・根性の4拍子がそろうDFはなかなかいない。風間八宏監督の秘蔵っ子で、チームではCBですが、酒井高徳が抜けた右SBの候補になり得るポテンシャルを秘めている。当然、才能面ではバルセロナの下部組織でプレーしていた久保建英(FC東京・17歳)も外せない。スペインで培った技術、判断力は非常に高い。ただ、彼は周りが焦りすぎている面があり、まずはJリーグで結果を残すのを待つべきでしょう」
ロシアで出色のパフォーマンスを見せた、柴崎岳の相棒候補も、若手有望株がいるという。
「頭脳派MFの中山雄太(柏レイソル・21歳)も、『ポスト長谷部』として挙げたい選手。常に冷静沈で、あらゆるポジションをこなせる器用さを持ち合わせています」