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「観ないのに受信料を払うのはおかしい……」。
昨年末には最高裁から合憲であるとの“お墨付き”となったが、NHKを視聴するかどうか以前に、インターネットや動画配信サービスの普及で、そもそもテレビを持たない人も増えており、冒頭にあげたような疑問が噴出するのも不思議ではない。
テレビ番組は観ないが、ゲームをやるのに使う。Chromeキャストやファイヤースティックなど、HDMI端子を利用した小型デバイスで動画配信サービスを観るのに使う。そんな若者は多いはずだ。
”タダ”のイメージのあるテレビだが……
メディアのあり方が変化している以上、テレビがあるだけで受信料を払わなければいけない仕組みに疑問を持つのは自然な流れと言えるだろう。視聴料の訪問徴収も、ユーザーがストレスを感じる一因かもしれない。
果たして、「公共放送の受信料」という制度が普及しているのは日本だけなのだろうか?
まずはテレビ大国アメリカ。PPVや動画配信サービスなど、常にメディアの最先端をいく国のため、「おカネを払ってテレビを観る」という行為は比較的一般化しているが、日本とは当然事情が異なる。
「アメリカには受信料制度がありません。好きなだけテレビが買えます! アンテナさえ買えば、基本的なチャンネルは無料で観ることができるんです。ネットフリックスを繋ごうが、借りた映画を観ようが、ビデオゲームをやろうが、何も払う必要はありません。ただ、すべてのチャンネルが観たい場合はケーブルテレビや衛星放送と契約する必要があります」(ロサンゼルス郊外に住むアメリカ人男性)
上質なエンターテイメントを楽しむためにはお金を払わないといけないという点では、ある意味他国よりもお金がかかる仕組みになっている。しかし、自分で選んだコンテンツに対価を払うので、「無差別的に徴収」されるNHKの受信料よりはマシな気もするが……。
「ケーブルテレビの会社は独占的で暴利をむしっています。どのケーブルテレビ会社と契約できるかは住んでいる場所によって決まるので、あまり選択肢はありません。しかも、ケーブルテレビはかなり高額です。ケーブルテレビ会社はインターネットや電話回線も管理しているので、まとめて契約することが多いです。自宅の住所で調べてみるとテレビ、インターネット、電話回線、それぞれ約3300円でした。税込みの月額はおよそ1万2200円。しかし、これは1年限定の割引価格です。125チャンネルあるベーシックなセットを契約しても、面白い試合を放映しているスポーツチャンネルなどは、アップグレードしないと観れません」
近年、ヨーロッパでもスポーツ中継の放映権料は右肩上がりになっているが、そのビジネスモデルの元祖とも言えるアメリカでは、ボクシングやアメフトなど重要な試合はPPVで観るのが基本となっているのだ。
どういった放送が視聴できるか、電波を調べるためのアプリもある
しかし、前述のとおり無料で観ることのできるアンテナは安価で手に入る。
「ちなみにアマゾンで買える格安のアンテナは約1600円。地上波のHD放送が観られますが、それはABC、NBC、FOX、CBSといった大手ネットワークに、各種公共放送、ショッピングチャンネルなどがほとんど。私の自宅付近(ロサンゼルス郊外)で調べると155チャンネルの電波が飛んでいますが、今挙げたもの以外ではスペイン語チャンネルや大学放送、宗教放送、それにNHKといった感じでした。ただ、アンテナを使っている人はほとんどいませんし、“普通の”テレビが観たい人も、地域のケーブルテレビ会社と契約する人がほとんどです」
カリフォルニアでも視聴できるNHK。果たして徴収員は、アメリカ西海岸まで押し寄せるのだろうか……。