プラナ / PIXTA(ピクスタ)
2019年5月1日に新天皇即位に伴う改元において新しい年号の発表は1か月前という話だったはずなのに、先日、即位後に発表すべきとの意見が出始めた。(参照:共同通信「
元号発表は新天皇即位後」)
もちろん伝統的な手続きの大事さもあるだろうが、1か月前に元号が決まる見込みで動いていたシステム開発現場のSE(システム・エンジニア)たちからは新たな意見に悲鳴が聞こえる。
「1か月前に元号がわかるという前提でスケジュールや設計を始めていましたが、今回のニュースでまさか正式決定していなかったとは思いませんでした。1か月前でも不安なのに猶予がない日程に変わるだけでも落胆するのですが、開発やテストの予定ややり方を見直さなくてはいけない。もうこの際どちらでもいいので早く『いつ決定するのか』を発表してほしい」(銀行系SE)
もう1年を切ったこの段階で元号決定のタイミングが定まらないのは、実は省庁でも困るのではないだろうか。今後省庁のデータは西暦に一般化しようとしている。元号を使わなくてはいけない情報は、西暦から変換するようにやりとりすることで、基本データに和暦を使わないようにしようとしているのだ。(参照:時事通信「
省庁データ、西暦に一本化=証明書など元号継続-政府」)
だが、元号決定日が即位後となってしまうと、変換システムの運用テストは前後のゴールデンウィーク真っ只中に短期集中で実施されることになる可能性が出てくる。
「多くの方は仕事に影響しないように連休中に改元されたほうが有り難いんでしょうけど、SEのゴールデンウィークは来年はないものだと思ってます。あと、システムだけの話をしてしまえば、年度初めの4月1日や、1月1日に改元してくれたら改修量が少ないシステムもあったはずなんですけどね……」(システム開発会社社員)
また、年号の合字「㍾・㍽・㍼・㍻(※環境などによっては表示されない場合あります)」問題にも影響する。これは平成まで連続していた文字コードの次に空きがなく、次の年号は飛び地になるため文字コードをずらして年号処理していたシステムは改修が必要になるというものだ。これにより、大改修を余儀なくされているシステムも存在する。(参照:日経BP・
Unicode「合字」使う企業は修正が必要に、日本マイクロソフトが新元号対応)
どこを次の年号の文字コードにするかはそのうち決定されるだろうが、そこに入る文字が決定するのが1か月前を想定していた現場では、やはり困惑の声が上がる。
「予定される文字コードを指定したプログラムを用意するまでは準備できますが、現状空白のところが指定されていますから、もし年号の決定が5月1日以降になってしまうと、試しに帳票を作成しても空白になります。もしシステムに不具合があったとしても気付くのが遅れる可能性があります」(システム開発会社社員)