ベネズエラのウゴ・チャベスは発表された死亡日の2か月前には死亡していた!? 南米系メディアで持ち上がる疑惑

疑惑を報じる『el Nuevo Herald』

 2013年3月5日、南米における「反米路線」の象徴的存在だったウゴ・チャベス第53代大統領が亡くなった。  しかし、ここに来て、ベネズエラのチャベス前大統領の死亡した日を偽っていたという疑惑が南米系メディアを席巻している。単に死亡日を偽っていたというのであれば、それ程の重要度は持たない。ところが、チャベスの死亡を2か月も遅らせて発表したというのだから穏やかではない。背後には後継者争いが起きていたということを想像させるからである。  この疑惑が浮上したのは、7月中旬に電子紙『Punto de Corte』に、コロンビアのジャーナリストであるセバスティアナ・バラエスによるベネズエラからコロンビアに亡命したルイサ・オルテガ検事総長へのインタビューが掲載されたことに端を発する。

チャベスは2012年末に死んでいた!?

 ルイサ・オルテガは、そのインタビューの中で、「チャベスが亡くなったのは2012年12月28日で、政府が発表した2013年3月5日ではない」と発言したのである。  このインタビューの記事が同紙で掲載された途端、同紙へのアクセスネットが妨害されるという事態が発生したという。(参照:「El Nacional」)  このニュースはスペイン語メディアを中心にアメリカ大陸をまたたく間に駆け巡った。  7月24日付の米マイアミをベースにした電子紙『el Nuevo Herald』は「マドゥロが権力を掌握するのにチャベスの死を数週間隠した?」というタイトルでその背後の関係を分析している。  ルイサ・オルテガが、チャベスがもっとも信頼していた軍人であり当時の国民議会議長であるディオスダド・カベーリョからチャベスの訃報を聞き、至急帰国するように要請を受けた2012年12月28日、その日彼女はパリに滞在していたという。  オルテガは、カラカスに直ぐに戻るべく航空券の変更の手配を開始した。ところが、それから4時間が経過してカベーリョからまた電話があり、「チャベスはまだ生きながらえている」と伝えて来たというのである。  同日にチャベスの死が伝えられたのは、オルテガ以外にもうひとりいた。当時、軍部の最高司令官で現国防相のパドゥリーノ・ロペスだ。当時、内務相ロドリゲス・トッレスが彼に電話でチャベスの死を伝えた。この時も、最初の死亡通知電話から1時間後に2回目の電話が入り、チャベスが息を取り戻したと伝えられたというのだ。  しかし、専門家の間では両者に掛けて来た2回目の電話の内容は疑わしいとしている。オルテガには4時間後、ロペスには1時間後にチャベスがまだ存命中だと伝えて来たと言うのであるが、医学的に見て一旦死亡した人物が息を取り戻すのは瞬間の出来事であって、数時間あとではないという見解からである。(参照:『el Nuevo Herald』)
次のページ
棺の中の遺体は「チャベスかどうかわからなかった」
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会