謝罪メールに顔文字は有効か? 謝罪の真剣度を見える化する感情認識AIの可能性
メールで本心を伝えるということに限定して言えば、謝罪文を打っている最中の表情を感情認識AIが搭載された携帯のカメラが分析し、謝罪度が数値化され、それが顔文字化され謝罪メールの文面に沿えられる。そんなことが出来れば、謝罪の本気度を伝えることが出来るのではないかと思われます。
相手が対面の謝罪に応じてくれない場合以外でも、相手が多忙で対面する時間がなく謝罪に応じれない場合でも、謝罪の本気度を迅速にメールで伝えることが出来れば、相手に直接伝えられない誠意を伝えることが出来るかも知れない。そんなふうに思います。
ところで、そんなこと本当にできるの?と思われるかも知れません。
答えとしては、技術的には可能、だと思います。
「本心からの謝罪の気持ちがあるときのみ動く表情筋」というものがあります。具体的には、内側前頭筋という額にある表情筋が引き上がる表情です。意図的にこの筋肉を動かすことは難しく、この筋肉が動くと眉はハノ字になります。この表情筋の動きの「あり・なし」から謝罪の意が本物か否かわかります。
そして感情が強いほど表情筋の動きも強く動くということがわかっています。したがって、表情筋の動きの強さから謝罪に込めている感情の強さがわかります。また表情筋の継続時間からメールを打っている間、どれくらい謝罪の意が続いているかもわかる可能性があります。
こうした表情筋の動きを表情を認識するカメラに読みとらせ、テキストメッセージに添付させる仕組みです。
本心を伝えてくれる感情認識AI?
本心を暴露してしまう感情認識AI?
人によって、状況によって、このAIを形容する言葉は変わってくるでしょう。
来る未来、AIをメディアとしたどんなコミュニケーションが生まれるのでしょうか?
◆清水建二の微表情学第58回
※参考文献
荒川歩・鈴木直人 2004 謝罪文に付与された顔文字が受け手の感情に与える影響 対人社会心理学研究, 4, P.135-P.140.
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。
反省の眉をAIに認識してもらう
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。
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