フィールドに審判が不要になる時代が来る!? 求められるVAR判定を活用できる環境整備

佐藤永記
ネイマール

ネイマールのチャレンジはことごとくVAR判定で跳ね返された JMPA代表撮影(渡部薫)

もうフィールドに審判は不要

 先のFIFAワールドカップにて導入されたビデオをジャッジングに導入するVAR(video assistant referee)判定によって、ネイマールが接触した後に痛がっていた姿が単なる過剰演技によるものじゃないかという批判が噴出し、その姿を揶揄して「ネイマールチャレンジ」なる悪ふざけが世界的に大流行した。

 遅すぎた感もあるが、ようやく世界が注目する大会でもビデオによる判定は当たり前になってきたのだ。

 しかし一方で、日本ではプロ野球でホームランかどうかをビデオ判定をしたのに誤審が発生するといった何ともお粗末な運用ばかりニュースになる。

ビデオ判定を使っても誤審が後を絶たない日本球界

 ’90年代に日本プロ野球では線審(外審)がいなくなったのだが、結局線審がいようがいまいが、ホームランかファウルかの誤審騒動はほぼ毎年のように発生する。それどころか、ビデオ判定が導入されているというのに誤審だったと話題になった判定も今年発生している。(参照:スポーツ報知「ファウルがビデオ判定で決勝弾も再検証でファウル 試合後“リプレー誤審”認めた」

 この誤審についてはすでに様々な意見が出ている件ではあるが、ビデオ設備が整っていないと言われる地方球場ではなく、オリックスの本拠地の一つであるほっともっと神戸で発生したということが非常に問題だ。こうなってしまうと原因が何であれ「現状の運用では本拠地スタジアムであってもミスが起こる状態だ」ということが言えてしまうからだ。

 ただ、日本において目視ではなく映像などで判定する習慣はむしろお家芸であることをご存知だろうか?

映像や写真を見て判定をする習慣はすでに日本にある

 競馬などの公営競技における「写真判定」や「ビデオによる審議」はすでに何十年も前から当たり前のように行われている。お金が賭けられている競技において、ミスは許されない。さまざまな公営競技がある日本だからこそ、この判定技術ではむしろ先に発達した分野だ。

 写真判定の技術においては、戦前日本で行われるかもしれなかった幻の東京オリンピックに向けて準備をしていた技術が公営競技の判定に導入され、さらに1964年にやっと開催された東京オリンピックでの写真判定に利用されるようになった。(参照:日本写真判定「沿革」

 さらに、映像判定はいずれの公営競技でも当然のように行われている。

 例えば、ボートレースでの失格は非常にコールがスピーディーだ。目視だけでなく映像で見るからこそ素早い判定が可能である。競馬においても審議そのものは丁寧に行われるが、審議対象のレースであったかどうかの告知は事象が発生した時点でレース中であっても審議ランプが点灯する。

 競輪業界も、昨年各コーナー(1~4コーナー)に全て配置していた審判員を2コーナーと3コーナーの2名に削減する決定をした。これにより順次各レース場で新運用が開始されている。ゴール前後になる1コーナーと4コーナーは現在の技術であればゴール前にある決勝審判室から見る映像でしっかり確認できるからだ。(参照:高知けいりん「走路審判員の執務体制の変更について」

千葉審議ランプ

千葉競輪場建て替え工事直前の開催が終わり取り外された審議ランプ。すでに1、4コーナーでの判定は審判室から行い、審議となった場合このランプが光る。

 すでに日本では公営競技のような「間違えるわけにはいかない」ギャンブルで培われた、判定のために正確なジャッジを下せる技術があるわけだが、どうもそれが日本国内の他のスポーツで生かされているようには見えない。

 技術的な例であれば、北米MLBではストライク、ボールの判定は球審がしているものの、投げる度に中継でストライクゾーンに入っていたのかどうか表示される。空間認識で判定が可能な域まで達してしまっているわけであるが、まだ判定に使われているというわけではない。とはいえ、これまでアウトコースは甘い(ストライクを取りやすい)と言われていた傾向が、実際ホームベース上を通過したかどうかが空間認識され中継で表示されてしまうようになってから実際の判定もそれに近づくようになっていった、という声もある。間接的ではあるが、技術が実際の判定を向上させている。

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ビデオ判定の運用システム確立を

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