「日本大会に参加したのは別の理由です。FX業者3社が合同でひとつの大会を行うのは初めて聞く試みだったので、記念にと思って気軽に参加しました。ただ、トレードを始めたのは大会終了の2か月前。短い期間で優勝できれば、価値が高まるんじゃないか、と」
自らにハンディを科して優勝したバカラ村氏。そのトレードスタイルはテクニカル分析にファンダメンタルズを加味したスウィングトレードだ。
「日本大会中は円高トレンドが進んでいたため、米ドル/円を売っていました。この場面だと『フラッグ』からの下抜けを狙ってのエントリーですね」
【再度の急騰・急落を示唆する「フラッグ」】下落トレンド中に形成されたフラッグをブレイクするまでの期間は1、2週間が目安。このデータからブレイクを予見して米ドル/円を売り。ストップを切り下げながら1.7円の値幅で利益確定した
フラッグとはトレンドの途中に形成される短期的な反発局面。図のように、2本のラインで囲まれた部分が「旗」のように見えるために命名されたパターンだ。
「フラッグは通常、1週間から3週間ほどでブレイクすることが多いんです。下落トレンドだと、その期間はもう少し短くなり1、2週間。この場面ではフラッグが形成されてから1週間ほど経過したので、そろそろ下抜けしてもおかしくないと待ち構えていました」
フラッグを知っていても、ブレイクする期間まで調べている人は少ない。チャートを研究し倒したバカラ村氏ならではの分析だ。
「フラッグの下抜けを待っているときに飛び出したのが、ムニューシン米財務長官による『ドル安はアメリカにとってよいことだ』という発言。これに為替市場はドル売りで反応し、フラッグを下方ブレイクしました。エントリーしたのは110円70銭。ストップを切り下げながら、下落についていき109円で利益確定しました」
なぜ、109円で利確したのか?
「トランプ米大統領が『最終的には強いドルが望ましい』と発言し、ムニューシンの火消しに回ったためです。財務長官と大統領の発言なら、後者のほうがよりインパクトは大きい」
このように、チャート分析一辺倒にならないのがバカラ村氏の真骨頂。
「ファンダメンタルズには短期的に相場を動かすだけの材料と、長期的な方向性を左右するメインテーマの2つがあります。最近でいえば、米朝首脳会談の中止と開催が話題となりましたが、それはあくまでも短期的な材料にすぎないと考えていました。今年のメインテーマは通商政策。年初には米中間で深刻化しましたし、春以降は日本やヨーロッパへも波及しつつあります」
アメリカが関税を引き上げれば中国も報復措置を取り、さらにアメリカも応戦して……と、報復合戦に発展したことは記憶に新しい。
「5月、日本のメディアが米朝首脳会談に注目している間にも、トランプ政権が輸入車への25%関税を検討しているとのニュースが流れました。輸入車への関税は日本への影響が大きく、中長期的にも円高リスクがある」
バカラ村氏は5月下旬にも円高を狙ってトレードしていた。
「通商問題だけでなく、米朝首脳会談の延期が取りざたされ、トルコリラやアルゼンチンペソが急落し、リスクオフの雰囲気が高まってきていた時期です。リスクオフなら円高が進みます。ユーロ/円も重要なサポートを下抜けして下落する気配がありました」