「のびしろ」を数字化することはできるのか?

山口博

自己判定の方が誤差が小さい?!

 これまで客観的に捉えることが難しいと言われてきた成長性を、とても簡単な方法で数値化する方法だが、この方法を実施してく際に、気に留めておきたい大事なポイントが3点ある。

 ひとつ目は、ひとつひとつのデータには誤差があり、データを集積すればするほどデータの精度は上がるということだ。知っているか、できるか、実施したことがあるか、実施しているかという、これらの区分は簡単でわかりやすいが、ひとつの行動に限ってのことだ。ひとつの行動の事実を示してはいるが、その結果だけで、全体を論ずるには、誤差があるので、データの積み重ねが必要だ。幸い、1時間の前と後でも計測できる内容なので、データ集積に苦労はしない。

 2点目は、この方法は、成長性の評価にも使えるが、現時点での成長性の良し悪しよりも、今後、どの領域のスキルを、どの程度の期間で、さらに高めるたり克服したりしていくかを見極めるため役に立つ。

 さらに高めたり、克服したりするスキル領域を見極めるためだけであれば、成長度合の判定は、自己評価で十分だということが、私が申し上げたい3点目だ。スキルが上がるかどうかは、他の誰でもない、自分自身がスキルを上げたいかどうかと思う意欲にかかっている。そして、どのスキルを、どの程度時間をかけてあげるかを見極めるかは、自分自身の成長性をふまえて自分が決めればよい。

 訓練されたトレーナーや、日々一緒に行動している上司といえども、第三者であることに変わりはない。自分のことは自分が一番わかっているものだ。そして、どのスキルを高めたいかという意欲の程度は、自分にしかわからないものだ。経験上、三者の判定による誤差よりも、自分自身の判定による誤差の方が小さいと私は捉えている。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第93回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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