「子育ては女の役目」という固定観念は少子化対策の足かせ。日本以上に深刻な少子化に悩む韓国で上がる声

「おむつを替えるのは、お母さんだけなのでしょうか」

 「親の生活の質の向上」へ舵をきった韓国の少子化対策。  しかし、「親」と言いながらも、子育ては「ママ」がするものだという固定観念からは未だ脱せずにいる。  今回の事業対策によって新たに設立される事業名は「子供とママの幸せセンター」、ママになるために必要な知識をアドバイスしてくれる「ママ学校」、交流の場「ママカフェ」など。  キム・スンナム聖公会大学ジェンダーセンター研究教授は「最も重要なのは、住んでいる地域で、少しの間子供を預けることのできる共同育児や保育施設を提供すること」と述べながら、「しかし、そのやり方が女性だけに出産と育児、責任まで押し付ける、従来の少子化対策は骨組みから考え直さなければいけない」と話した。  少なくとも「ママカフェ」と呼ばれる交流施設は「養育・ケアセンター」に変更するなど、従来の「ママ」を強調するような風潮を変えていくべきだと主張した。(参照:MT)  日本でも最近、ベビー用品の専門店「アカチャンホンポ」が、自社ブランドのおしりふきのパッケージにある「メッセージ」を削除することを決めた。パッケージの側面に書かれていた文言は、「全国のお母さんを応援します」というメッセージ。 「おむつを替えるのは、お母さんだけなのでしょうか」。  一人の母親が疑問を投げ、インターネット署名サイトChange.orgでパッケージのメッセージ変更を呼びかけたところ、5000件を超える賛同の声が集まった。(参照:HUFFPOST) 「母親だけに、子育てを押し付ける社会を変えてほしい」  母親たちが求めているのは、育児を労った「付加価値」でも、「表彰」でも「応援」でもない。ただただ一緒に、育児をしてほしいだけなのだ。  韓国で深刻さを増している少子化問題と、その原因。それは日本が抱えているそれと大差ないのではないか。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会