東京2世、3世たちがぶつかる都会的子育ての壁

佐藤永記

さわだゆたか / PIXTA(ピクスタ)

 東京では人口拡大時に東京に出てきた地方出身者同士が結婚し、東京で生まれ育った子供たちが大人となって家庭を築いている「東京2世」が増えている。筆者も東京育ちだが両親はどちらも東京どころか関東の出身ではない。筆者の子供は「東京3世」といえよう。

 そんな東京2世は一見、仕事の多い東京で子育てしやすい環境を手に入れていると思われがちだ。大人も子供も遊び場が多いし、福祉も充実しているんでしょ? と言われることは多い。確かに、遊戯施設や福祉施設は地方から比べれば多いのは事実だ。だが、それは人口比を考えたら当たり前であって、下手すれば混雑率の面で地方のほうが施設の利用がしやすい面もあったりする。

東京2世には、ふるさともなければ、親戚もいない

 それだけではない。東京2世には子育てに致命的な制約があるのだ。

《東京2世が抱える制約》
・親が元々地方出身者のため親以外に親戚が近くにいない
・2世代離れた祖父祖母の住む地方は疎遠過ぎて、ふるさととはいえない

 親のふるさとが地方であるため、自分以外の親戚はみな遠くに居住している。子供一人に多くの親戚が顔を会わせられる状況ではない。東京2世の家庭では、何か困ったときに頼れるのは自分の親しかいない。

 親がそのまま東京で老後を過ごすのならまだよいが、親は定年後、東京から引き上げているパターンも多い。東京2世のAさんは、子供の対応に追われる日々から抜け出せない。

「父も母も定年後に離婚して、それぞれのふるさとに帰ってしまいました。仲の悪い親を見るのは辛かったので離婚は仕方ないと思うのですが、私たちを置いて地方に帰ってしまうとは全く想像していなかった。自分の子供が急病とかになっても、親に預けたりすることができない。私か妻か、どちらかが仕事を休むしかない。休日も含めて子供から全く離れることができない。あと10年以上もこんな生活から1日たりとも休めないと思うと気が重かった。結局、家事代行などお金で多少は解決させていますが、負担と引き換えな状態です」(Aさん)

 これでもまだ良いほうだ。30代後半で結婚し40歳になってようやく子供が生まれたBさんの場合、母親の認知症が始まってしまった。

「子供がまだ小さいのに、母に認知症が出てしまいました。子供の世話を手伝ってもらうどころではありません。でも、これから稼ごうというときに母の世話をする生活を続けられる状況でもありません。買った家も母が同居する想定がなかったため広さも将来限界がある。正直、母の実家の親戚に母の世話をしてほしいんですけど、母の実家も高齢化し、遠くに住んでいて、元々大した交流もなかったために交渉するたび大喧嘩になってしまう。もう母方とは疎遠どころか絶縁状態で頼る以前の状態になってしまいました」(Bさん)

 ただでさえ東京2世にとって親のふるさとの親戚たちは、親に連れられて顔を出した程度の「距離がある」親戚である。そもそも親戚がどんな人なのか知らない状態だ。大人になってから親戚と交流してみて距離があることを痛感するという構図だ。夏休みだからと、帰るところもない。

次のページ 
「頼れる近親者」の不在

1
2
4
5
関連記事
6
7