全国で行われる案内サインの多言語化、「英語から日本語に変えた例」も!?

2017年からは一般の「道路標識」の多言語化も進みつつある(神戸市中央区)

 以前配信した記事『新宿“ダンジョン”の新・案内サイン、「迷子の救世主」となるか? 進化する「案内サイン」』では、新たな案内サインの導入により「ダンジョン」の汚名返上に挑む新宿駅の例を紹介した。もちろん、こうした案内サインの刷新は東京都内のみならず全国各地でおこなわれつつある。今回も、AIやデジタルサイネージなどではない「アナログ看板」に注目して、全国に広がる案内サインの進化について見ていきたい。

「アナログ+デジタル」でコストを抑えた進化も

「案内サインの多言語化」の議論のなかで必ず問題となるのが「外国語表記」だ。日本語、英語に加えて何処の言語を表示すべきかというのは地域事情や観光地の性格によって大きく異なるし、何より多くの言語に対応させようとすると煩雑になり、誰にとっても見づらくなってしまうという問題があった。  また、前回取り上げた新宿駅のように、地域全体の案内看板を全て更新するには多額の費用がかかるため、特に地方では案内サインの再整備まで手が回らないと思われる例も見られる。

前回取り上げた新宿駅にある更新予定の案内サインたち。すべてを更新するには多額の費用がかかる

 そうしたなか、神戸市と国土交通省近畿地方整備局が2017年秋から行っているのが、「QRコード」を用いた案内サインの多言語化だ。  近年こうしたQRコード付きの案内サインは増えつつあり、観光地や博物館の案内でも良く見かけるが、神戸市では日本語、英語をはじめ中国、台湾、韓国、タイ、フランス、ドイツなど10もの言語に対応していることが珍しい。  実際に案内サインに貼られたQRコードを読み取ると、案内サインの情報をそのまま多言語で表示できたほか、看板の設置場所から近隣主要施設までの多言語地図や、それらのウェブサイトへのリンクも表示することができた。この地図は設置されている案内サインが文字情報のみの場合でも表示することができるため、日本人にとってみても嬉しいサービスだ。  そして何より、今回の神戸市における取り組みの最大の特徴は「既存の案内サインにQRコードのシールを貼っただけ」ということだ。QRコードは看板の形状、形式を問わず複数の異なった形の案内サインに貼られているが、コードを読み取ればそれぞれほぼ同じような形式の画面が出てくるため、使い勝手もよい。

阪神電車の神戸三宮駅にある案内サイン(神戸市中央区)。神戸市中心部で導入された「既存の案内サインにQRコードを貼って多言語化する」というスタイル

 全ての案内サインを多言語化対応した地図式のものに交換するとなれば多額の費用がかかるだけでなく、案内サイン上の情報が多くなればなるほど頻繁に更新を行わなければならなくなるが、こうした既存の看板にQRコードのシールを貼る形式ならば、一度基本のシステムを開発しておけば比較的安価で多言語化が実現できるうえ、内容の更新も行いやすいものとなる。
そごう神戸

地下街「さんちか」と「そごう神戸店」の入口にある案内サイン(神戸市中央区)。1つ前の写真とは異なった看板だが、同様のQRコードが貼りつけられている

QRコードを読み取ると案内サインの情報を「そのまま」多言語で表示することができる。実際の案内サイン(1つ前の写真を参照)と比較すると一目瞭然だ

 1つ難点を挙げるとすれば、看板によってはパっと見で「QRコードが貼られている」ということが分かりづらい点で、観光パンフレットなどでも「各案内サインがQRコードで多言語化されている」ということを事前に周知して貰う必要があろう。

神戸市ではこのほかに「防災情報」の案内サインにもQRコードのシールが貼り付けられており、手軽にアクセスすることができる

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「日本語」に戻した例も
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