有人宇宙船の開発を進めるインドと、独自の有人宇宙計画を持たない日本。明暗を分けた「10年」

鳥嶋真也

インドが実施した、有人宇宙船の緊急脱出システムの試験の様子 (C) ISRO

 インド宇宙研究機関(ISRO)は2018年7月5日、有人宇宙船の緊急脱出システムの試験に成功した。

 インドは2009年から宇宙船の開発を続けており、ゆっくりとではあるものの、完成に向けて着々と歩みを進めている。

 一方で、宇宙開発において比較的高い技術をもつ日本は、これまで有人宇宙飛行計画をもってこなかったばかりか、いまなお独自の宇宙船をもとうとしていない。

いつでもロケットから安全に脱出できるシステムの試験

 ISROは2000年代から有人宇宙飛行の研究・開発に着手し、2009年にインド政府から予算がつき、正式に計画がスタートした。一時はロシアと共同開発することを模索していたが、最終的にご破産に終わり、現在は独自に開発する路線を歩んでいる。

 2014年には、宇宙飛行士が乗る宇宙船のカプセルの試験機を開発。無人の状態でロケットで宇宙に打ち上げ、大気圏に再突入する試験を実施した。

 そして今回行われたのは、そのカプセルをロケットの発射台から脱出させる装置の試験だった。たとえば打ち上げの直前にロケットが爆発したり、飛行中にトラブルを起こしたりすれば、宇宙飛行士は宇宙船から悠長に降りている暇はない。そこで宇宙船ごとロケットから引っ剥がし、離れたところに着陸させる必要がある。

 今回の試験は成功し、ISROは「有人宇宙飛行の実現のための、重要な技術の実証に成功した」とコメントしている。

 いまのところ、ISROの、すなわちインドの有人宇宙飛行は、2030年ごろの実施を目指しているという。ゆっくり、慎重な歩みではあるものの、着実に歩を進めており、さらに独自のスペースシャトルの開発も進めているなど、勢いは十分である。

緊急脱出システムの試験後、パラシュートを開いて降下してきた宇宙船の試験機 (C) ISRO

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独自の有人宇宙計画はない日本

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