「下流域を守る」ためのダムが下流域に被害!? 9人の死者を出した愛媛県・肱川水害

足立力也

 200人を超える人命を奪った西日本の歴史的豪雨。中でも、流域で9人の死者を出した愛媛県肱川(ひじかわ)のすさまじい氾濫は、上流のダムの放流が原因だったのではないかと言われ、物議を醸している。

被災住民「ダム放流直後、あっという間に氾濫」「そりゃ浸かるわ」

豪雨による大量の水が流入し、安全基準の6倍超を放流した鹿野川ダム(写真/時事通信社)

 肱川を流れる水は、野村ダムから西予市に流れ込み、鹿野川ダムを経由して大洲市に下る。今回の水害で、西予市では5人、大洲市では4人の死者を出す大きな氾濫が起こった。
 地元・南海放送のニュース「News Ch.4」は7月11日、肱川の氾濫と野村ダムの放流に関する検証番組の中で、被災住民たちの証言を紹介した。たとえばこのような声だ。

「6時過ぎに、消防団から『6時半くらいから(ダムの)放水量を増やすからすぐに避難してくれ』と連絡があった。車に乗ってエンジンをかけた時には下流から水が上がってきていた」

「あっという間に水かさが増し、短時間でものすごい量の水があふれてきた」

 このように、複数の住民が「急激に氾濫した」と証言している。しかも、それは想定外のできごとだったとする声もあった。

「ダムがあるから安心して水位が保てると思っていたが、あれだけ流すとは思わなかった」

「普通の放流時は(毎秒)200トンくらいだったと思う。それが(今回は)2000トンとかだったと聞いている。そんな量流されたら、そりゃ浸かるわ」

 ある住民は、端的にこう結論づけた。

「(氾濫した水は)ダムからきた。ダムの放水でこうなった」

 同番組は一例で、複数のマスメディアが、同様の住民の声を紹介しつつ「ダムの放流で肱川が氾濫した」と断定的に報道している。

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ダム担当者の説明は?
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