その批判に対し、ホベル外相は、「ユダヤ教の教えによると、与えるということは受け取ることを意味する」とだけ記者団を前に答えた。彼女の発言が意味するものは、先ずグアテマラが大使館をエルサレムに移設という提供をした。その見返りとして資金或いはそれに相当するものを受けるのを待つということのようだ。もちろん、モラレス大統領はこの事前の取り決めを承知の上で今回の行動に出たようである。
しかし、イスラエルの企業家にとっても、ただでグアテマラ政府の旅費を持つメリットはない。当然、見返りとして収益の取れるものに投資せねばならない。
アデルソンはイスラエルのネタニャフ首相とも親交がある。トランプ大統領にも大統領選挙で多額の資金を提供した人物だ。
グアテマラはイスラエルが1947年に建国された時に米国に次いで2番目にイスラエルの建国を承認した国である。その関係もあって、グアテマラは小国ではあるが、イスラエルにとって中米における基点となっている重要な国である。アデルソンの狙いはどこにあるのか? 今後明らかになっていくだろう。
<文/白石和幸 photo by
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しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。