今度こそ、米国銀行株は騰がるか? ストレステスト後の株主還元策

丹羽唯一朗

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リーマンショックから10年、ついに米国銀行株が騰がるのか?

 今年3月、筆者は「リーマンショックから10年、ついに米国銀行株が騰がっていくのか?」(3月13日掲載)という記事を書き、2018年の今年、成長が期待できるインダストリーのひとつが金融であり、銀行の株価が上昇することが予想されることを記した。税制改革、政策金利の利上げに伴う米国10年国債利回りなどの長期金利の上昇、増配、自社株買いが米国の主要銀行株を上昇させるドライバーであるとした。

 しかし、今までのところ、米国銀行株は騰がっていない。米国の主要銀行から構成される指標、“S&P 500 Financials”(参照:spindices.com)を見ると、むしろ、3月時点よりも現在の方が指標の数値は下がっている。年初来で見ると、7月20日時点、“S&P 500 Financials”は、マイナス1.37%である。一方、ベンチマークとなるS&P500は、+4.80%である。

米国銀行のFRBストレステスト(健全性審査)の結果は良好

 今年、米国銀行に対する連邦準備制度理事会(FRB)によるストレステスト(健全性審査)は、従来よりも厳しい条件で実施された。

 最も深刻な不況シナリオでは、米国実質GDPの水準は、2018年の第1四半期に低下し始め、2019年第3四半期には景気後退のピークから7.5%下がる。2019年の第3四半期までに、失業率は6%から10%に上昇する。消費者物価上昇率は2018年の第2四半期に1%を下回る。資産価格は急落する。株価は、株式市場のボラティリティの急増に伴い、2019年初頭に65%下落する。不動産価格も大幅に下落し、住宅価格と商業用不動産価格は、2019年第3四半期までに、それぞれ30%、40%下落する。米国株式のVIX指数は60%を上回る。(参照:Dodd-Frank Act Stress Test 2018: Supervisory Stress Test Methodology and Results

 6月1日、FRBは、第1ラウンドのストレステストで対象35銀行の全てが、最も深刻な不況シナリオを乗り越えられると判断され、審査に合格したことを発表した。全ての銀行が第1ラウンドの審査に合格したのは3年連続である。

 6月28日、FRBは、ストレステスト結果などに基づく「包括資本分析レビュー(CCAR)」の結果を発表した。対象35銀行の内、ドイツ銀行米子会社を除く34銀行が第2ラウンドの審査に合格した。ドイツ銀行米子会社の計画が却下されたのは、内部統制などの不備が指摘されたからである。また、ゴールドマン・サックスおよびモルガン・スタンレーには当面の配当や自社株買いに上限が設定された。

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各銀行の株主還元策

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