偽大同江ビールや北朝鮮からの密輸ビールが出回る中国・丹東。裏で暗躍する謎の「華僑」とは?

中野鷹

丹東市内はそこかしこで大同江ビールが売られている

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の「特産品」ともいえる大同江ビールは、中国では昨年秋ごろに販売店が急増したため販売価格が大きく下がり中国のオンラインショップ「淘宝網」でも気軽に購入できるようになった。そのため、これまでのように北朝鮮レストランや中朝国境の街でしか買えないものではなくなり中国全土で買えるようになっている。(参照:『貿易規制に苦しむ北朝鮮、新たな外貨の稼ぎ頭は「ビール」と「カレンダー」!?』)

 しかし、春先から一部メディアで「大同江ビール」の偽物が出回っていると報じられ始めた。

 現在、中国へ正式に輸入されるほぼすべての大同江ビールは、中朝国境の丹東から入ってきている。偽大同江ビールが出回るのは丹東周辺との情報を元に現地協力者と取材を重ねていくと一般的な商店などにはなく、会員制クラブや高級カラオケ店などに置かれていることが判明した。

輸入されていないはずの種類の大同江ビール

 大同江ビールには、醸造する工場により1号から7号までの7種類ブランドが存在し、原材料の配合やアルコール度数、原麦汁濃度などを変えている。6、7号は、ハーフアンドハーフビールと黒ビールで生ビールのみが提供されている。

正規輸入品の大同江ビール2号ビール

 北朝鮮国内で外国人が買うことができる瓶や缶の大同江ビールは2号が主流で、今回、中国へ正式に輸出されているものも2号ビールのみだと確認できた。

 しかし、不思議なことに輸入されていないはずの1号ビールが、大同江ビールの高級版として出回っているのだ。そう、つまり現在、中国で販売されている1号はすべて丹東で製造された偽物だったのである。

 偽1号ビールは、1本あたり30、40元(約505~675円)ほどと正規2号ビールの2倍以上で売られているようで、わざわざ偽物を作るほど利益があるのか定かではないが、丹東の工場で、本物と同じ原材料を使っているとされ、ここまでくると、わざわざ大同江ビールを模倣する意味が不明なほどの、まさにスーパーコピービールといえそうだ。

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丹東で蠢く「華僑」と呼ばれる人々

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