ロシアはヨーロッパでのロシアのガス需要はさらに伸びると見ており、将来は「ノルド・ストリーム3」の建設が必要になるであろうと見ているという。
一方の米国も、ヨーロッパへの進出の布石は築いている。ポーランドにLNGを年間9隻のLNGタンカー船をシフィノウイチェ港に入れて、この先5年間供給することを昨年11月に発表している。(参照:「
El Diario」)。ポーランドがこの決定をしたのは、ノルド・ストリーム2は自国がその恩恵を受けることはないと見ており、また、ロシアからのガスの依存度をできるだけ縮小させるためである。と同時に、同国には米軍が駐留しており、ロシアからの脅威を軽減できるとして今後も米国との関係を強化したいと見ているからである。
いずれにしても、今回のNATO首脳会議でのトランプのドイツ批判の背後には、米国のLNGを売る込む為の狙いがあったということを知るべきである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。