クリスティアーノ・ロナウドがユベントス移籍。その理由と、巻き起こる波紋

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upstairsgbr via pixabay(CC0 Public Domain)

 レアル・マドリードに9年在籍したクリスティアーノ・ロナウドが来期2018-2019からイタリアのユベントスでプレーすることが決まった。  ヨーロッパで最高の13回のUEFAチャンピオンズリーグを制覇している名門レアル・マドリードで、これまで同クラブで歴代最高の451得点を決めているクリスティアーノ・ロナウドがなぜ移籍を決めたのか。

世界5番目の年俸に不満だったロナウド

 ロナウドはサッカー界の最高のプレヤーだと彼自身が見做している。しかし、年俸となると、バルセロナのメッシの4600万ユーロ(60億円)、パリ・サンジェルマンのネイマール3600万ユーロ(47億円)、上海SIPGのオスカー2400万ユーロ(31億円)、河北華夏のラベッシ2300万ユーロ(30億円)に次ぐ5番目で、2100万ユーロ(28億円)の年俸だ。  ロナウド自身は少なくともメッシと同額の年俸であるべきだと常に考えている。それを機会あるごとに表明していた。(参照:「AMBITO」)  しかし、レアル・マドリードとは2016年11月にこの先5年間の契約更新をしており、クラブ側ではチーム全体のレベルを上げることに資金の投入は必要であるが、彼個人を満足させるために彼の年俸を上げることには反対の姿勢を示していた。  このクラブ側の姿勢が次第にロナウドのクラブへの忠誠心を削ぐ方向に向かって行くのであった。

「脱税」疑惑へのクラブ側対応に不満爆発

 そして遂にロナウドのクラブへの不満が一挙に爆発したのが昨年6月であった。スペインの税務署が2011年から2014年の期間にロナウドが1470万ユーロ(19億円)を脱税したと告発したのである。そして罰金を含めその支払いを要求して来たのである。(参照:「El Pais」)  メッシが同じように脱税が発覚した時には、バルセロナのクラブ側がその支払いを負担した。ロナウドもレアル・マドリードのクラブ側が同じような対応をしてくれるものと期待していた。何しろ、ロナウドはクラブがこれまでタイトルを獲得して来たことの一番の貢献者である。しかも、脱税だとされている内容にはロナウドの弁護側から見て税務署とは見解の相違があり、脱税とは言えないという意見もあったのだ。  ところが、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長は、“この問題はロナウド個人と彼の税理士など助言者の問題であって、彼に科せられた罰金などをクラブが負担する義務はない”という姿勢を表明した。  ロナウドは何が何んであれクラブ側が彼を手助けしてくれるものと思っていたことから、ぺレス会長のこの姿勢に内心立腹していたという。(参照:「Elbernabeu」)  このクラブ側の姿勢に反発する意味で、ロナウドが見せた反応は彼の代理人ホルヘ・メンデスを介してレアル・マドリードに年俸を上げることを要求し、同時に移籍先を探すように依頼したのであった。またポルトガル紙『A Bola』に「クリスティアーノはスペインを去ることを望んでいる。なぜならそこでは好かれているとは感じられないし、十分に満たされた待遇を受けているとは思えないからだ」という内容の記事を掲載させたのである。(参照:「Goal」)
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ロナウドの年俸は変わらず!?
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