「より働かない」が次の時代の要請。「働き方改革」はそれに逆行する、経済界のための「働かせ方改革」

「働き方改革」は、経営者や投資で儲ける人のための“改革”

週休3日

オーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」は、週休3日だった

 経済界はバブル崩壊後の1995年から、労働者の人件費削減を虎視眈々とたくらんでいた。2005年には経団連からこの政策が提案され、さらに、在日米国商工会議所も2006年の第1次安倍政権に、同様の政策を法制化しろ、と提言(命令? 恐喝?)した。過去、日本政府はこのアメリカの組織の言いなりになっている。  ちゅうことでやはり、2007年に自民党は法制化を目指した。その後、いわゆる「残業代ゼロ法案」と言われて世論の反対を受け、法案はずっと通らなかった。政府は嘘もついていた。「労働者の時短に繋がる」という厚労省のでっち上げデータが明るみになったのは、つい最近のことだ。 「働き方改革」というからには、働く人の立場に立った改革でなければならないと思うが、まったく逆だったのだ。経営者や、投資で儲ける人のための“改革”であることが明らかになった。  安倍首相が最近こう言った。 「産業競争力会議で、経済人や学識経験者から創設の意見があり」 「適用を望む従業員が多いから導入するものではない」  やっぱり、“働かせ方改革”だったのかぁ!  今は1075万円以上の年収の人を対象にするという。あなたには関係ないって? そんなに給料をもらってないからエリートや偉い奴だけが対象になって「ざまあみろ」って? そんな呑気なあなたも、5~10年後にはその対象になるだろう。  いずれ正社員ほぼ全員に当てはめてゆく「範囲拡大」を経団連も政府も狙っている。以前、自民党の厚生労働大臣が経済界のお偉い方にこう言った。「小さく産んで大きく育てる」と。

「経済成長して企業が儲かれば、働く人の給料も上がる」という論のインチキ

脱サラした男性

脱サラして移住し、なりわいを起こし、働く時間を減らしつつ順調に稼げるようになった男性。今では自分の体験を人に伝える立場になって、笑顔が屈託ない

 派遣労働もそうだったじゃないか。最初は、通訳やソフトウェア開発や財務処理など、特殊な技能を持った人だけに限定すると言っていた。しかし、政界は少しずつ範囲拡大を強行、今や労働者の4割が非正規労働になった。  働いて働いて年齢を重ねても、月収せいぜい20万円、年収200万円以下を強いられる。これでは将来図を描けない。結婚だって子育てだって難しい。てなことで正社員は、非正規になって不安定な暮らしになることを恐れ、ますます会社や上司の言いなりにならざるをえない。  正規雇用と非正規雇用の格差や分断が生まれ、新時代の身分制度、差別制度となりかねない。ヒエラルキー(階層)の上位に立つ経営者や投資家はパワハラがますます可能になるし、人件費を下げて丸儲けだ。  いつも謳い文句はこうだ「経済成長のために」。「世界で一番企業が活躍しやすい国をつくる」と安倍首相は言っている。経済成長のために、企業のために、働く人の給料は上げない、むしろ、下げるということだ。  経団連が政府に提言している年収400万円まで適用範囲を下げたなら、12兆円も人件費が浮くという。12兆円といってもピンと来ない。日本で一番利益を上げている企業のトヨタの利益が大まかに2兆円、といえばイメージがつくだろうか。多くの働く人がもらうべき報酬総額12兆円が、一部の経営者や投資家の報酬に付け替えられるのだ。  経済成長で企業が儲かれば働く人の給料も上がる、というトリクルダウンがインチキなわけだ。
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