ビジネススキルの巧拙は数値化して評価できるのか?

山口博

YUJI / PIXTA(ピクスタ)

「業績数値を見える化したい」という人は多い。特に、チームの業績か個人の業績かを明確にしたいというニーズや、管理部門における業績の数値化のニーズは大きい。(参照:「もう印象評価はたくさんだ。チーム業績を個人業績にひもとく方法」「管理部門でも業績の数値化は可能! 漫然と評価されていると感じたら自分で数値化してみよう」

 見える化したい対象は、業績数値に限らず、能力数値も含まれる。業績が判定期間に発揮された取り組み結果であるのに対し、能力数値は、その人がもつスキルレベルで、成長性、能動性、迅速性によって変動する。

 人事や人材開発の領域で企業のサポートをしていて、相談の多い内容に、「個々の社員のスキルレベルを評価できないか」というものがある。管理職のリーダーシップスキル、一般社員のビジネススキルのレベルを評価したいが、どのように評価すればよいかわからないという質問だ。

 たいていの場合、課題発見能力があるか、課題解決能力があるか、合意形成能力があるか、計画策定能力があるか、コミュニケーション能力があるか…というようにとても大きな括りで評価しようとする。このような大きな括りで能力評価している限り、漠然とした印象で評価しているという域をでない。

 スキル評価の確度を上げるには、スキルを分解すればよい。わかりやすい例でプレゼンテーションスキルを取り上げよう。プレゼンテーションスキルを分解すると、プレゼンテーション資料を作成するスキルと、プレゼンテーションをするスキルとに分解できる。

 プレゼンテーションをするスキルは、構成スキルと表現スキルとに分かれる。表現スキルは、声の表現、体の表現、顔の表現などに分解できる。顔の表現はさらに、表情をつくるスキル、口元の表現をするスキル、アイコンタクトをするスキル、などに分かれる。まだ続く。アイコンタクトは、アイコンタクトを何秒するか、アイコンタクトはどこへはずすかというスキルに分解できるのだ。

分解すればするほど具体度合が高まる

 このように分解していければいくほど、印象による評価の度合が下がり、具体的な評価の度合が上がる。プレゼンテーションスキルだけでも数十のスキルに分解できるのだが、分解スキルを具体的に評価した結果を数十スキルについて蓄積すれば、評価の信頼度は高まる。

 さて、分解スキルをどのように評価するかということに話を移そう。例えば、アイコンタクトを何秒するとスキルが高いと判定できるのかということだ。この答えは、学者が学説としてもっているというものではないと私は考える。ビジネスをしているビジネスパーソンそのものが答えを持っているのだ。

 20年来実施している能力開発プログラムの参加者に、アイコンタクトの秒数を図る演習をして、何秒のアイコンタクトが相手を巻き込みやすいかと聞くと、日本のビジネスパーソンは2~3秒だと答える。だとすれば、日本でビジネスをしていく上では、2から3秒のアイコンタクトができる人はスキルが高いと判定できると言える。中国のビジネスパーソンは5~6秒だと答える。だとすれば、中国のビジネスパーソンにとって、5~6秒のアイコンタクトができる人はスキルが高いのだ。

 アイコンタクトをどこへはずすとスキルが高いと言えるのか、ということについては、日本のビジネスパーソンも、中国のビジネスパーソンも共通の認識を持っている。うなずくようにアイコンタクトを下にはずすと、巻き込まれやすいと思うビジネスパーソンが多いのだ。

 ちなみに、アイコンタクトを上にはずすと「思い出しながら話している」という印象を持たれ、斜め上だと「時間を気にしている」と思われ、横だと「相手を否定している」、斜め下だと「自信がない」というように思うビジネスパーソンが多い。

次のページ 
評価基準は現場の実戦に基づいて

1
2
4
5
関連記事
6
7