「千羽鶴は送らないで」論争はもううんざり。そんな論争する前にやるべきこと

そんな論争する前に「送る先の状況を考える」ことを始めよう

 少なくとも、この記事を読んでいただいている方々はネットが使える人が大半であろう。電話などで避難所や行政施設に問い合わせるようなことは、インフラの状況次第ではこれも迷惑になるだろうが、SNSで現地から上がる声や報道などを確認することをオススメする。そうすれば、千羽鶴を送りたい人は、「今は千羽鶴を送っても大丈夫かどうか」が類推できるし、「送るな!」という人は、自分で他にすべきことを見つけることができるだろう。  物資が溢れていたりする状況だったり、まったく届いていないような状況であるならば、千羽鶴よりも優先すべきことがある。また、そんな論争をする暇があれば、寄付や物資の支援について適切な方法を考えたりするべきなわけだ。  もちろん、千羽鶴を送りたい人は、復興まで含めて心の支えとして役に立つタイミングはあるはずなので、そのタイミングで心を込めて折った鶴を送ればいい。それまでは、千羽鶴を折る気持ちを込めて、他にできることをすればいい。それは「送るな」という人も同様で、ネットで送ろうとしている人を見つけたら「送るな」というよりも「一緒にこういう支援をやりませんか」と声をかければいいではないか。  災害があると、なにかしなくてはという気持ちになるのは当然のことだ。しかし、急を要する行政の対応や被災の状況など、本当に案じているのであれば、個人としても早急なる冷静な情報収集と判断が必要なのは国や地方の災害対応と何もかわりはない。  千羽鶴も適切なタイミングで送れるのであれば、心を伝えるものとして被災地の支えになれるものだ。折る前に「なんのために折るのか」から順番に考えれば、自ずと正しい支援ができるはずだし、「千羽鶴は送らないで」という議論も言い争いではなく、よりよい支援のための議論になっていくはずだ。  とはいえ、実際のところ「千羽鶴を送られて本当に迷惑だった」事例が、どれほどあるのかはよくわからない、というのもこの手のネットの事案ではよくあることである。 【シグナルRight(佐藤永記)】 半勤半賭のセミギャンブラー。Twitterやニコ生『公営競技大学』にて公営競技について解説をしている。売上の一部が支援に回る被災地支援競走が各公営競技で開催されており、通常の寄付と合わせて進んで投票する日々だ。@signalright 公営競技大学
公営競技ライター・生主。シグナルRightの名前で公営競技の解説配信活動「公営競技大学」を個人運営している。また、日刊SPA!のギャンブルコーナー勝SPA!編集担当も。Twitter:@signalright
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