スマホからでもOK。西日本大雨災害で知っておきたいネット募金窓口と支援物資を送るときの注意点

支援物資のニーズは刻々と変化する

 お金だけでなく、物資を支援したいという人もいるだろう。しかし、いったい何をどこに送っていいのかの判断は難しい。ネット上にもさまざまなまとめが出回っているが、たしかに送ったはいいものの、結果ゴミになってしまったり、必要なところに行き渡らず物流の妨げになることも考えられる。全国社会福祉協議会のホームページにも次のように記されている。 “被災地に、個人から多くの物資が送られますと、量の多さや物品の仕分けの困難さ等でせっかくの善意がかえって、被災地に大きな負担をかけることになる恐れがあります。現地の状況をよく確かめて、必要とされている場合のみ送付することが大切です”(原文ママ)
内閣府

内閣府ホームページより

 内閣府ホームページの「被災者への物資の調達・搬送の仕組み」を見てもわかるとおり、物資の提供は被災地の避難所の要請によって行われる。そもそも現段階では被災状況も確認できておらず、何がどの程度必要かということがハッキリするまでには、まだしばらく時間がかかるはずだ。  そのうえで何か個人で支援物資を送りたいということであれば、まずは最低でも各都道府県や市町村のホームページを確認するべき。送付先や具体的に必要な物資が掲載されるので、それに基づいて送るのが一番無難だろう。  また、災害の発生当初は水や食料、毛布や燃料といった「緊急支援物資」の需要が多い。その後は副食品や衣服、下着などの「生活用品」、炊き出しセットや洗濯機といった「避難所環境改善物資」など、時間が経過するとともにニーズは変化していく。支援物資が届いた頃にはすでに有り余っていて、補完するためにかえって場所を取ったり、処分するのに手間やお金がかかることも大いにあり得るのだ。  さらに必要なものだからといって、ひとまとめに送るのもNG。巨大な段ボール箱のなかに衣服や歯ブラシ、食料……とバラバラなものが入っているところを想像してほしい。こういったものが大量に届けば、それだけ仕分けをするのにも手間と時間がかかってしまう。  ネットで手軽に募金ができるようになったいっぽうで、支援物資やボランティアなどには注意点もつきまとう。被災者が少しでも早く元の生活に戻れるよう、我々にも正しい知識と支援が必要とされている。 <取材・文/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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